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「ムンク展―共鳴する魂の叫び」


於:東京都美術館

美術の教科書で見たことのあるムンクの<叫び>。いくつかのバージョンのうち、今回はオスロ市立ムンク美術館が所蔵するテンペラ・油彩画の、おそらくもっとも有名な奴が初来日。なかなか本物を観る機会もそうないはず。ということで、今週末の休日出勤の代休を先取り出来たので行ってきました。

 今回の展示はムンク初期の作品から晩年の作品までを制作年別に展示。
 エドヴァルド・ムンクEdvard Munch1863年12月12日 - 1944年1月23日)はノルウエーの作家。元々工学系の学校に進んだものの、どうしても絵描きになりたくて父親を説得してノルウェー王立絵画学校に再入学。当時はまだドガとかモネとかセザンヌとかの写実的な印象派が全盛の時代で、主流派からは「異端である」という理由で酷評されていました。それでも彼の才能を認める人も一方でいて、着実に評価を高めていきます。
 
 たくさん描いた肖像画も風景画もどうも暗い。それは目に映るものをカンバスに写しとるこれまでの絵から、彼の主題は人の内面を描くものだったから。にしても暗い。内面を見つめる為に幸せな環境に自分を置くことを良しとせず生涯未婚のまま。母や姉が、彼の小さい頃亡くなっていてそれもトラウマになっているよう。ただ80歳で亡くなるまで、生前に名声を得て十分な評価をされていたムンクは充分恵まれていたよね。
 そして<叫び>
 この絵は、ムンクが感じた幻覚を描いたもので、日記でこのように書いています。
 「私は2人の友人と歩道を歩いていた。太陽は沈みかけていた。突然、空が血の赤色に変わった。私は立ち止まり、酷い疲れを感じて柵に寄り掛かった。それは炎の舌と血とが青黒いフィヨルドと町並みに被さるようであった。友人は歩き続けたが、私はそこに立ち尽くしたまま不安に震え、戦っていた。そして私は、自然を貫く果てしない叫びを聴いた。」
 そもそも<叫び>って、自分で叫んでるのかと思ってたんですけど、「自然を貫く果てしない叫び」に怖れおののいて耳を塞いでいる姿を描いたものなんでですね(^_^;)。
 この絵の真似をする時に、口元に両手を持っていくの、あれは間違いで、耳を塞ぐようにして、驚きの表情にする、これが正解w

 <叫び>以外にも男女二人が溶け合うようにキスをしている<接吻>、女の吸血鬼に抱かれながら血を吸われる<吸血鬼>、そして数々の自画像。その時々の"内面"が描かれています。
 
 
 今スマホで自撮りをする人多いですけど、私はあんまししませんし、そもそも写真に写るのも実は好きじゃありません。容姿に自信がないというのがもっとも大きな理由ですけど、写真って外側だけでなく内面も写すものだと思います。ムンクも後年は写真(ポートレート)を元に絵を描いていますが、もしもう少し後に生まれていたら、写真による表現に移行していたかも…。

 ムンクの絵は、筆跡をわざと残して粗いところが、より感情の激しさを感じます。恵まれた環境を自ら避けて内面に向かい続ける。そうすることであらゆる人の抱える根源的な悩みを描き出す。
 生々しさが心に響くと同時に、だからこそ正視することがとても難しい。
 怖いもの見たさ的な感じですが、本物はやはり一見の価値あり。
 1月までの長期開催ですので、話題の<叫び>以外の作品も是非見て欲しいなと思います。さすがにノルウエ―までは見に行けませんからねぇ。。


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