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「犬神家の一族」(2006映画版) を観る。

 監督:市川崑
 主演:富司 純子、石坂浩二

 市川崑監督のセルフリメイク。金田一耕助石坂浩二)、等々力署長※76版は橘署長(加藤武)、那須神社の大山神官(大滝秀治)が同じ配役。殆ど同じ脚本、コンテで撮ったと思われるこの作品。リメイクの必然性があったのか疑問です。
 ただ、最近の若い人は、知ってる俳優が出ていないと安心しないからなのか、古い映画を好まないし、昔のように名画座がたくさんあるわけではないから、DVD化されているとはいえ「犬神家の一族」に触れる機会はそうそうあるとは思えないので、旧作未見の人にとっては、リメイクもありかもしれない。
 プロデューサーの一瀬隆重さん(私が好きな「星空のむこうの国」や「呪怨」のプロデューサー)が、市川監督にリメイクの打診をした時、市川監督からの条件が、「石坂浩二以外の金田一はありえない」という事だったらしい。撮影期間も4ヶ月以上、76年当時撮影した時は、舞台である昭和22年の風景が残っていましたが、今回はなかなかなくて一部CGを使って再現しています。「三丁目の夕日’64」が現在公開されていますが、1964の風景を作る為にほぼ全編にCGを使っています。これから、過去が舞台の映画を制作する時は、CGに頼らざるを得ないのかと思うと残念ですねぇ。
 76年版と06年版を比較するのは野暮というもの。どちらかを観るというならば76年版推しです。高峰三枝子の松子夫人はじめ最高の配役。今回の金田一は、石坂浩二が演じているので、石坂さんは76版の若い金田一ではなく、歳を取りいろんな事を経験した金田一を意識して演じたと言っていましたが、そもそもこの犬神家連続殺人事件は、探偵が事件に絡んでからも次々と殺人が起こってしまう。若い金田一なら許せるけど、ある程度歳を取り、思慮深くなった探偵として未然に防げたのではなかろうかという矛盾を感じてしまう。勿論そうなっては、物語そのものがおかしくなっちゃうけど。
 あ、06版でよかったのは、佐清役の尾上菊之助。さすがに歌舞伎役者。佐清(静馬と2役)は、眼の演技が重要。その点歌舞伎役者が本業の菊之助は、あおい輝彦よりも上です。更に、三代目尾上菊五郎の文様は、斧琴菊。そう、犬神家の三種の家宝と同じなんですね。このキャスティングは、偶然か分かっててやったものか。少なくとも菊之助は知っていたと思うと、なかなか愉快に観れますね。


 リメイク前と殆ど同じ映画ですが、ラストシーンが改変されています。長編としては、市川監督の遺作となった本作。市川監督からファンへ、また、石坂金田一からファンへのお別れの挨拶風で、静かに終わります。そして、前作ではなかったエンドロール。
 ちなみに見たのは、「2006&1976限定生産完全版」というDVDで、3枚組豪華な装丁のもの。特典ディスクとして3枚目に付いていたのが、76版を観ている時にスケキヨ君マークが出るところでは、06版との比較が観れるというもの。これは見ものですよ。セリフ、アングル殆ど一緒なのがよぉく判ります。
 というわけで、基本は76年版をまず観、興味があったら、06年版を観、その比較をしてみる。これが正しい映画版「犬神家の一族」の楽しみ方ですね。
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