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「GALAXY EXPRESS 999 ULTIMATE JOURNEY 」上巻 を読む。

松本零士 原作・総設定・デザイン・監修
和智正喜 著


 元々(公式)同人誌として発売されていたものを、上下巻に再構成し書店流通に乗せたものらしいです。下巻は今年発刊予定。
 「銀河鉄道999」は、少年画報社ヒットコミックス全18巻、TV版、それと映画版2作で、自分的には完結しており、その後の物語はスピンオフも含め蛇足。でもまぁ、一時は大変惚れこんだ作品&作家さんだったりするので、昔の彼女と逢うような気分で目を通しています。

 大筋としては、鉄郎が"機械の身体をタダでくれる星"に行った「アンドロメダ編」の続編で未完の「エターナル編」を下敷きにしています。しかし話の内容は、漫画版(TV版)の続きではなく、映画版の続きの体裁。つまり、惑星大アンドロメダから帰還後、地球に侵攻してきたメタノイドが、太陽を超新星(supernova)化、地球を含む私たちの住む太陽系を消滅させてしまって、それを復活させるに、"惑星エターナル"に向かうというお話。
 銀河を2分する勢力、メタノイドに対抗するのは、999を中心とした松本零士オールキャラクター。しかも単独の話では敵同士だったものもすべて共闘するという、もはや"松本零士連合軍"状態w
  基本的に世界観が共通する話、あるところで活躍していた主人公がサブキャラクターで登場するというのは嫌いじゃないんですけど、松本零士の場合、舞台設定は勿論、時代設定まで反故にしてしまう。それならば、手塚治虫のようにキャラクター造形だけを利用した"スターシステム"の方が判りやすい。時代設定も、長命種というのは宇宙人だったらまぁ仕方ないか、と納得できますが、1000年昔の宇宙戦艦ヤマトの乗組員がそのままの造形と性格を持って登場するに至っては苦笑せざるを得ません(^-^;)。挙句の果てに、アニメ作品で一応原作とクレジットされているものの大本は石川英輔による小説「SF西遊記」を原案とする「スタージンガー」まで自分の作品として取り込まれていて、もうなんでもあり。キャラクターへの愛着は、その造形だけではなくバックボーンたるストーリーあればこそなんです。

 「宇宙戦艦ヤマト」にしても、「ダンガードA」も、この「スタージンガ―」にしても、確かに松本零士の意見は入っていると思うけど、純粋に彼一人の創作物ではない。そういった他人との共同作品すら、あたかも自分がすべて創造したように扱うのは、少し問題だと思う。

 70〜80年代の松本作品は、本当に面白かった。数々の短編や「男おいどん」「ハーロック」「エメラルダス」「ダイバー0」「大純情くん」「ワダチ」「セクサロイド」等々あげればきりがない。他人との共作物を含め自分が少しでも関わった作品を無理やり一つの物語に収斂させなくても、充分偉業は輝いています。


 魔法のようなストーリーよりも、過去の作品のような地に足の付いた骨太なストーリーの方が、読者の心を惹きつけると思うのですが、いかがでしょう。
 でもま、ここでまた中途半端に終わるのはいやなので、下巻でちゃんと完結させてください。

GALAXY EXPRESS 999 ULTIMATE JOURNEY 上巻

GALAXY EXPRESS 999 ULTIMATE JOURNEY 上巻