日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

思ったこと、思っていること。読んだ本、観た映画、TV。聴いた音楽…。会社でのこと、家族のこと、自分のこと。日々のうつろいを定着させています。はてなダイアリー開始は2003年、2006年4月から毎日更新継続中。2017年6月8日「はてなblog」アカウント取得、2019年1月「はてなダイアリー」から正式移行しました。アクセスカウンター2019年01月26日まではpv(2310365)です。

「ラジオ」を観た。

 NHK仙台放送局制作。
 何の気なしに、番組表見ていて気になったので観てみたら泣いてしまいました。昨年度の文化庁芸術祭大賞、第50回「ギャラクシー賞」の年間優秀賞を受賞した作品らしい。
 原作は、このドラマの主人公でもある"某ちゃん"という高校生のブログ。脚本は一色伸幸

 心が震えるドラマというのは確かにあるんだなと改めて思いました。
 某ちゃん(刈谷友衣子)は、3.11の津波で、家を流されてしまった被災者。某ちゃんというあだ名を付けてくれた友達も行方不明のまま。震災から10ヶ月たっても、仮設住宅に引きこもっていて、時折かき鳴らすエレキギターがご近所迷惑になっている。
 ある時、母親の勤める蒲鉾店の副社長(吉田栄作)に、臨時災害放送局『女川さいがいFM』を紹介される。
 臨時災害放送局『女川さいがいFM』は、震災後の2011年4月21日から放送を開始している地元情報を提供する放送局。ほぼ全員が放送関係の仕事をした事のない素人。そんな手作りの放送局に参加するよう勧められた某ちゃん、最初は話を振られても何も話せない。家に帰ると漁師を再開している父親(豊原功補)が「ラジオ、良かったよ。」と声をかける。喋れなかったのに褒められて戸惑う某ちゃんに父は「黙ることも言葉だ。」という。無言である事が、話すよりも雄弁であると父はいう。そして父は「もし話すのが苦手なら、文章ならどうか」とブログを勧める。なんとか引きこもりの状態から脱却して欲しい親心に涙。
 そして一言もしゃべれないながらFM局に足を運ぶようになった某ちゃんは、ある日自分の持ってきたCDを掛けてくれという。そのCDは、流された家の瓦礫から掘り起こしてきたスターリンの『負け犬』というハードロックだった。
 blogやFM放送を通じてメッセージをくれる女川出身で現在は東京に住む"飛松"(リリー・フランキー)のメッセージに励まされ、某ちゃんは徐々に元気になっていく。
 すこしづつ自分を取り戻していく某ちゃんは、被災地の瓦礫受け入れが拒否されている現状に対してblogで素直な思いを書いたところ、反対する読者によって炎上させられてしまう。
 このblogは以下のようなものでした。

☆☆☆
ブログ 「本当に受け入れて欲しかったモノは」

父のお下がりでもらった大切な青いドラムは、ドラムと呼ばれる形ではなかった。
漁師の祖父が建てた立派なわが家は今じゃ更地。祖母の嫁入りの際に持って来た嫁入りの着物は、海でワカメのように漂う。若かりし頃の母の写真から海の匂い。
全部ガレキって言うんだって。
全部ガレキって言われるんだって。


町は被災地と呼ばれた。ただの高校生が被災者と呼ばれた。あの子は思い出になった。
上を向いて歩こうと見上げる空は虚無の青。
頬を伝う涙なんて、とっくの昔に枯れちゃった。


ガレキの受け入れ反対!!とテレビで見たんだ。
昨日までの宝物。今日は汚染物と罵られる。
子供を守れ!受け入れ反対!国も県も何してる。
ガレキと暮らす私たち。好きで流されたんじゃないのに。目から流れた涙はなつかしい海の味。
こんな悲しいものを見るくらいなら、受け入れなんて最初から言わないで。

私がもし被災地外に住んでいて、私にもし子供がいたら、同じ事を言っていたのかな?


ガレキの受け入れ。受け入れるのはガレキだけじゃないんだとふと思う。
あたしが本当に受け入れて欲しかったモノは、ガレキじゃなかったのかもしれないとふと思う。
少なくとも、受け入れて欲しかったそのモノには、放射能なんてついていない。
心の奥にある清らかな優しいモノのはずだった。
そんな事を考えながら、絆の文字が浮かんでは、泡のようにハジけた。

☆☆☆

ちゃんと読めば、反感を買うような内容じゃないのに…。そしてまた某ちゃんはメッセージを発信するのを止めてしまう。


とここまでで物語の2/3位。


 震災後からこれまで5回被災地に行ってお手伝いをしていますけど、どんなに頑張っても現地の人の哀しみの万分の一にも届かないと思います。今月で3年になりますが、復興はまだまだ先、復旧すら遅々として進んでいない。やっと整地が住んで、高台に集団移転の場所を作り始めている感じ。結局津波で押し流されたところに元通りの街並みに戻る事は殆どなく、あったとしてもまだまだ数年はかかる感じ。原発事故のあった地域は高い放射線で3年前当時のままの状態。


 震災後は誰もが募金やボランティアをしていましたが、今は人の口にのぼる事も殆どありません。ACのCMが消え被災地以外は日常が戻ってきていますが、被災地の人々が元の生活に戻るにはまだまだ自助努力だけでは難しいものがあるということをどれくらいの人が知っているんだろう。


 ドキュメンタリーでは重すぎるので、ドラマとして世に問うたのは素晴らしい。ドラマといってもこのお話は現実が題材となっていて、全てフィクションというわけではなく、ノンフィクションを再構成したドラマ。
 
 DVD/Blu-rayの発売も決定したよう。レンタルもされるそうですので、是非観て欲しい感涙必至の青春ドラマです。

女川さいがいFMのホームページ→http://onagawafm.jp/