日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

思ったこと、思っていること。読んだ本、観た映画、TV。聴いた音楽…。会社でのこと、家族のこと、自分のこと。日々のうつろいを定着させています。はてなダイアリー開始は2003年、2006年4月から毎日更新継続中。2017年6月8日「はてなblog」アカウント取得、2019年1月「はてなダイアリー」から正式移行しました。アクセスカウンター2019年01月26日まではpv(2310365)です。

水木しげる


 あらゆるニュースメディアで報じられていました。それだけ国民的作家であったことはいうまでもありません。
 68年のアニメ「ゲゲゲの鬼太郎」は白黒でしたが、引き続いて72年からカラー化。白黒版も結構再放送をしていて幼少時代によく見ておりました。考えてみれば、その前の実写版「悪魔くん」も66年なのでおそらく再放送での記憶でしょうが、すごく怖かったのを覚えています。

 キャラクターはあまり好きな絵ではありませんでしたし、キャラクターだけ見ればそんなに上手な絵じゃないんじゃない?と思っていた時期もありましたが、大学時代に水木しげる大好きの友達から背景に注目するように言われ、目を移してみると、むちゃくちゃ上手いことに気が付いた次第。


 著書『水木サンの幸福論』で幸せになる7つの条件を以下のように言われています。

 「幸福の七カ条」

幸福の七カ条

第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
第二条 しないではいられないことをし続けなさい。
第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし。
第四条 好きの力を信じる。
第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
第六条 怠け者になりなさい。
第七条 目に見えない世界を信じる。


私なりの解釈。

第一条 成功や栄誉や勝ち負けを目的に、ことを行ってはいけない。
    成功する事、勝つ事が人生の目的のように言われていますけど、それって一つのものさしでしかなくて、別にそれに縛られる必要はないんじゃないかと、私も思っています。勝ったり負けたり、成功したり失敗したりなんて言うのは、運の要素だって結構な比率であるもの。それすらも自分の能力のように思える人はおめでたいというしかない。成功にばかり目を向けるんじゃなくて、成功をするためにどうするか考え行動する。そういうことが大切だと。

第二条 しないではいられないことをし続けなさい。
    行動する事は大切ですが、嫌々続ける事は不幸。どんなことでも「しないではいられないこと」「好奇心をもって行える事」をすることが、努力を厭わないでできる、努力する事が楽しいって思える事なんだと思います。もっとも、その対価としてお金をもらう"仕事"は、好きでやっているばかりではないけど、一方でそれをしないと好きなことができないという側面もあり、精神的な意味で、仕事は「しないではいられないこと」ではなく生活をしていく上で、また好きなことをするためにしないといけないこと、という感覚で私はとらえています。だから、仕事を優先してしたいことができないような状況は原則避ける。ただ何でもかんでも私生活優先というのではなくて、仕事でのポジションはしっかりと確保しながら私生活を楽しむ、というのは社会人、特にサラリーマンとしては当然な事かなと思っています。

第三条 他人との比較ではない、あくまで自分の楽しさを追及すべし。
    幸せの基準は自分の中にあって、他と安易に比べるもんじゃない。例えば、収入や地位にしても、確かに高収入に高い地位というのは社会的に考えれば成功者かもしれないけど、じゃあその人たちが本当に幸せかというとよくわかりません。今の私にとって、例えば高収入や高い地位が幸せに結びつくかというとちょっと疑問で、自分が楽しいって思える状況や場所を自ら作り出していくこと、そのための基盤としてなにが必要かを考えて、より楽しいことを追求していくことが、いいことなんじゃないかなと思います。

第四条 好きの力を信じる。
    好きこそものの上手なれ、といいます。好きな事なら続けていける。好きじゃない事を続けていくのは、かなり無理をしないといけません。無理をする事は幸せじゃないってことですね。

第五条 才能と収入は別、努力は人を裏切ると心得よ。
    先日もこのBLOGで書きましたが、努力したからといって成功するとは限らない。それを「努力は人を裏切る」と言い切ってしまう水木センセーの言葉には、人生経験に裏付けられたものを感じます。だからと言って努力そのものを否定してしまっては何も前に進みません。好きな努力ならそれを辛いとは思わず、努力すらも楽しめる。それは幸せだといっているわけで。つまりは第1条の成功や勝ち負けのために辛い努力をすることは、目的が成功や勝利だから、それをつかんで初めて努力は裏切らないと言うことができる。じゃ、成功や勝利しなかった努力は無駄かというとそういうことでもない。努力したからっていっても、成功したり勝ったりするわけではないよ、ということ。「努力は必ず報われる」なんて思いながら努力している時点で駄目。

第六条 怠け者になりなさい。
    これを真に受けて、単なる怠け者になったらただの莫迦。しかも若いうちは吸収できるわけだから、いっぱい頑張らないといけない。だけど人生の後半は、これまで吸収してきたものを吐き出す時期だから、できる限り長く自分の得たものを放出するために、怠け者でいることはよいことだと。もちろん若い時であっても無理してやっているとどこかにひずみが必ず来ます。怠けること、一時道を外れることも決して無駄ではないよ、ということが言いたいんだと思います。
    
第七条 目に見えない世界を信じる。
    水木しげるだから、物の怪の世界を信じろということじゃないです。世の中の価値観って、目に見えるものだけがすべてではなくて、むしろ目に見えないものにこそ大切なもの、ことってたくさんあると私も思います。本を読んだり、映画を見たりした時の感動、家族や友人知人の思いやり、成功を伴わなかったかもしれないけどそこにかけた情熱、努力、そういった目に見えないものにこそ幸せを感じることが大切ということではないかと。見渡せば、お金さえあれば手に入れることができるものばかりですが、幸せというのは決してお金で買えるものばかりではありません。日々の生活の中で、少し視線を物欲からずらすだけで、幸せがすぐそばにあったりします。要は、みえていないだけ。




 改めてこう書いてみると、この7カ条ってホント大切なことだと思います。本を読んでいなくて、この7カ条を今回の訃報で初めて知りましたが、なんとなくこの7か条に沿って生きてるなって思います。そういう意味では、たくさんの足りないものはありつつも今の自分は充分幸せなのかもしれません。


 享年93歳。ご苦労された時代も長かったと思いますが、仲の良いご夫婦の二人三脚で人もうらやむ人生だったと思います。その根本はこんな考えにあったんですね。
 改めてこの七カ条を胸に刻みたいと思います。
 たくさんの物語、ありがとうございました。ゆっくりお休みください。