碧野圭著・PHP文芸文庫
「書店ガール」シリーズ2巻目。封建的なペガサス書房吉祥寺店閉店。半年後に同じ吉祥寺に進出してきた大手の新興堂書店に転職できた理子と亜紀。かつての戦友とともに書店を盛り上げていきます。
とはいえ、書店の経営はやっぱり大変。でも理子は店長として、亜紀は文芸書担当として生き生きと働いています。そんな中亜紀が懐妊。亜紀の夫伸光は、亜紀に仕事を辞めてほしいけど、書店の仕事が大好きな亜紀は辞めたくない。仕事と出産の両立をするためには、夫の協力は不可欠だけど、コミック編集者の伸光はただでさえ忙しい。そこに降ってわいたような伸光の編集統括をする雑誌に回収騒動。責任を取って左遷される伸光。
相変わらずジェットコースターのように次から次に問題が発生するけど、前巻のような陰湿ないじめみたいな展開がないのはよい。最後の吉祥寺の本屋さん合同イベントや理子さんと妻子持ちの副店長田代との淡いロマンスも好感が持てます。
基本的に本屋好きだったり本屋さんが好きだったりする人は、面白く読めると思います。
街の小さな本屋さんってどんどんなくなっています。大きな本屋さんも他人事ではなく、20年後残っているか疑わしいです。とても残念です。本屋さんで偶然手に取った本が愛読書になったこともたくさんあるし、逆にさんざん悩んで買わなかった本を今でも悔やんでいたり。本屋さんがなくてはならなないものだった時代が自分には間違いなくありました。
残念ながら、最近はゆっくり本屋さんに行く時間も無く、本当に欲しいものがあるときに立ち寄る程度。しかも3回に1回はほしい本がなく、仕方なくネット注文をする。そんなことを繰り返しているとネット注文が当たり前になる。欲しい本を買うだけならネットは便利です。翌日、早ければ当日配達してくれたりもします。本屋さんは欲しい本を買うところではなくなっています。
ではどうやって本屋さんはお客さんをつなぎとめることができるか。ここが思案のしどころ。本屋さんには頑張って欲しいです。
- 作者: 碧野圭
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2013/03/19
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (20件) を見る