先週の日曜、川崎市多摩スポーツセンターで市民スポーツデーということで各種体験会が行われました。私の所属する団体も弓道教室のお手伝いをしました。
これ何度か参加させてもらってるんですけど、弓を持ったことのない人に弓道をやらせるのって考えてみれば無謀この上ありません。和弓って、アーチェリーと違って、矢を飛ばすだけでも大変、普通は教室に入って3ヶ月しないと矢を28m先の安土に届かせることはできませんし、的に中てるなんてまぐれ以外ではありえません。それをまったくの素人にやらせるなんて。
アーチェリーは弓に矢を置くところもあって零れることもないですし、弦も顔の前までしか引かない。腕に弦を中てる心配もありません。ところが和弓は1本の竹(厳密にいうと違いますが)に弦張っただけのもの。弦は、通常は耳の後ろまで大きく引きます。今回は的を5m先くらいに掛けたので、半分くらいしか引かなくても届きましたが、弓を持つ腕に弦を当てることもあり、一人ではやらせられません。
前半後半で20名以上のお客様が来ましたが、両手を持たれて半分くらいまでしか引かずしかも5m程度の先の的を狙って矢を射て楽しかったのかな。
何しろ1時間しかなくて、そんなやり方しかできない、というのが今の方針ですが、自分でやること、とりあえず体験することは大切ですが、中途半端な体験をするなら、経験者のやる射技を解説付きで見てもらうだけでもよいのじゃないかと思います。"弓道に触れる"=自分でやる事ではないのではないかと。
体験会で大切なのは、弓道の面白さを伝えること。そういう意味では、例えば、自分でやる時間は短くなるかもしれないけど、矢渡しとか審査形式の入退場からの実技を見せて、その後実際に矢を飛ばすことを数回やってもらうというのもありじゃないかな。単に矢を飛ばすだけよりも、より弓道の本質を理解してもらえると思うし、なによりも弓道の魅力は矢を飛ばす楽しみもありますが、それ以上に優美な所作にあると思います。これは1日ではさすがにできない。
やってる自分たちとしては大したことのない所作かもしれませんが、まったくの素人さんがやろうと思うと大変なのが弓道。考えてみれば良くできるようになったよなぁ。中りは少ないかもしれないけど、少なくともちゃんと安土まで届くし。
人って、知らず知らずのうちに成長しているものなんですねぇ。