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「奴隷船」

奴隷船
 団鬼六著・無双舎文庫

 2011年5月に団鬼六氏が亡くなって早7年。古い世代ですと団鬼六といえばSM文学の大家となりますが、私的には1995年復筆第1作伝説の賭け将棋指しを描いた「真剣師小池重明」からファンになりました。
 その後幻冬舎文庫で旧作が続々復刊し、団鬼六マイブーム到来。以来幻冬舎文庫版は殆ど読みましたが、新作はかつての官能小説、嗜虐小説よりも私小説を次々に発表していきました。

 「奴隷船」は、表題作を含む5編の短編集。奧付見たら2010年月30日。新刊で買ったので8年も積んでました(^_^;)。
 
 「奴隷船」は、鬼六氏がかつて隅田川の屋形船で行っていた嗜虐被虐思考の男女を引き合わせ愛人契約の仲介をする遊びで知り合った女性が伊豆の温泉宿に嫁いでからの奇妙な話。
 「浜田山悦楽館」は鬼六氏と晩年の愛人(2人の関係は「最後の愛人」という小説で別に描かれている)さくらさんとの面白おかしい日常の話。
 「卑怯侍」「下郎の花道 みれん侍」は、かつて鬼六氏が書いた小説をダイジェストで紹介するお話し。
 「夕暮れ侍」は、幕末の江戸で試し切りの山田浅右衛門家の奥方の策略で勝ち目のない上野彰義隊に参加させられる門人左之助の話。

 いずれも官能小説的側面もあるので、そういうのが×な人は駄目ですが、鬼六氏の作品は、嗜虐小説であっても痛みを伴うものではなく、如何に羞恥を引き出すかその情景描写に重きを置いてるので、非常に文学的に感じます。
 老いてなお破天荒な鬼六氏の人生を垣間見る事の出来る短編集です。

 (初刊新潮社で単行本、現在はkindle版が入手しやすいと思います。今回読んだ無双舎版はプレミアがついて倍の値段がついてました…。)

奴隷船

奴隷船


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