「TSUBURAYA×HAYAKAWA UNIVERSE」第1弾
山本弘・小林泰三他・ハヤカワJA文庫
先日読んだ「ウルトラマンF」はウルトラマンが去った後の後日譚でしたが、この本は第1期ウルトラシリーズ(「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」)をモチーフに7人の作家が競作した短編集です。
・山本弘「多々良島ふたたび」
「ウルトラマン」#8「怪獣無法地帯」レッドキングをはじめ複数怪獣が初めて出た回の後日譚。
・北野勇作「宇宙からの贈りものたち」
「ウルトラQ」の一平を主人公にしたお話し。
・小林泰三「マウンテンピーナッツ」
怪獣保護を訴える環境団体と、ウルトラマンに変身する事の出来る女子高生の苦悩。
・三津田信三「影が来る」
「ウルトラQ」の由利子のドッペルゲンガーが現れる話。
・藤崎慎吾「変身障害」
「ウルトラセブン」のモロボシと名乗る男が変身できなくなったことを悩み精神科を訪れる話。
・田中啓文「怪獣ルクスビグラの足型を取った男」
「怪獣図鑑」にあった怪獣の"足型"を取ることを職業にしている男の話。
・酉島伝法「痕の祀り」
「倒された怪獣の死体処理をするチームの話。
と、そのままキャラクターを流用している作品(「多々良島ふたたび」「影が来る」)はしっくりいきましたが、「怪獣図鑑」の足型をとることを職業とした者の話や怪獣遺体処理の話はそれはそれでユニーク。でも面白かったのは表題作「多々良島ふたたび」のピグモンとガラモンの関係に言及した話とそのまま「-Q」本編に入れてもおかしくない「影が来る」。「−セブン」をモチーフにした「変身障害」はひねり過ぎです。王道のセブンストーリーが良かった。
ウルトラシリーズのキャラクターはウルトラマンだけでなく怪獣も防衛軍(科特隊、ウルトラ警備隊等々)のメンバーも魅力的だから、放映後50年以上経っても愛され続ける。こういう2次創作をプロの作家さんがやるというのもありです。