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「リオ―警視庁強行犯係・樋口顕」

リオ―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)

今野 敏著・新潮文庫
「隠蔽捜査」をはじめ今野さんの警察小説はいくつか読んでいます。これもまた、融通の利かない刑事らしからぬ刑事、樋口が主人公。「隠蔽捜査」の竜崎、ハンチョウシリーズの安積とはまたちょっと違うけど、この3人の中では、樋口がもっとも自分に近くシンパシーを感じる言葉がそこかしこに登場する。

 樋口は自分の10歳くらい上。70年安保、全共闘世代で暴力の嵐が吹き荒れた70年代前半を過ぎた頃に大学入学をしており、全共闘世代の後始末をさせられた世代といい、その少し上の世代の人たちを恨んでいる。
 そうなんですよ。戦後ベビーブームに生まれた世代は、その上の世代が作り上げた世界を破壊することに青春のすべてをかけた。しかし戦中戦後を一生懸命生きてきた世代に太刀打ちできず、挙句の果てに内紛、内ゲバで自滅していき、結局体制に飲み込まれていった。その子供、団塊ジュニアを育てることもできず、団塊ジュニアは結婚もせずに第3次ベビーブームは来なかった。数を頼んで消費の最前線にいて何も生まなかった世代。私的に団塊の世代ほど迷惑な世代もない。それが偉そうに高度経済成長は自分たちが頑張ったから、などという。いやいや、高度経済成長の頃、団塊の世代は新入社員から中堅前の世代で、企業のトップにいたのは戦前生まれ世代。
 バブルを生みだしたのも世代的には団塊の世代が企業の中枢にいた頃。
 世代論でひとくくりにするのは危険かもしれないけど、団塊の世代は大量発生したイナゴと同じ。嵐のように消費しつくしていただけの世代です。
 その尻ぬぐいをしているのが樋口以降に生まれた世代です。
 
 これまでの価値観を破壊しつくした結果、もの的には豊かになったかもしれないし、かつてのムラ社会から核家族そして家族の中にまで個人主義が広がった。日本人の美徳と言われたものすらも破壊しつくしたイナゴの集団。

 
 殺人事件現場から逃げた美少女。第2第3の事件現場でも同一人物と思われる少女の姿。少女の名前は飯島里央・タイトル「リオ」は少女の名前でした。
 心に闇を抱えたリオを捜査本部は重要参考人から容疑者として追うが、樋口は捜査本部の決定に背いて別人犯行説を取り、行動していく。

 他の今野作品同様、単なるミステリーではなく世代論社会論になっている点が面白い。

 樋口シリーズは現時点で「リオ」「朱夏」「ビート」「廉恥」「回帰」の5冊。とりあえず「朱夏」まで積んでいるので続いて第2作「朱夏」を読もうっと。


リオ―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)

リオ―警視庁強行犯係・樋口顕 (新潮文庫)

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