お腹がすいたら食べる。そうい意味での食欲はありますが、食に対する欲というのがあまりない。
若い頃、高校生くらいまでは好き嫌いが結構あった。母親の作る料理は、決して不味いわけではなかったけど、みそ汁やお漬物ははしょっぱかったし、料理のレパートリーが多いわけでもなく、オーブンを使うような料理、例えばグラタンとかは食べたことがなかった。洋風な料理といえばカレーとかシチューくらい。すき焼きは母親が牛肉嫌いで豚肉だった。
母親は出来合いのものが嫌いで、お惣菜を買ってくることは殆どなかった。母親が亡くなった時に、「どんなに忙しくても3食ちゃんと作っていた」ということを姉貴が言っていて、それが今になって大病もせずに過ごしてこれた原因だと。
勿論、食材から料理をしているので無用な添加物が入っていないのは確かによかったかもしれない。でも恐らく母親はそういうことを考えて作っていたんじゃなく、あまり外食をする機会がなくて、美味しいものを食べたことがなく、出来合いのものは美味しくない、自分で作った方が美味しいと盲信していただけだと思う。どんなところで何を食べても「私の方がおいしい」といっていて辟易したこともある。
後年、体力的に自分でつくるのが億劫になり、コンビニの普通のおにぎりを食べて「こんなに美味しいんだ」と感激していました。
一人暮らしをするようになり、お金もなかったのでとりあえず空腹を満たせばなんでもよかった経験があって、それ以来好き嫌いがなくなった。
昔、母親の夕食に文句を言うと、父親から「一杯くらいのご飯、おかずなんかなんでもいいだろ!」と言って怒られた。今となっては父親の言ってたことがよくわかる。
よくカミさんから「お昼何食べる?」「夕食何がいい?」と聞かれると、つい「なんでもいい」と答えてしまう。だって本当に何でもいいから。どうしてもこれが食べたい!ってものがあまりない。
まずは空腹を満たすことが第一で、さすがにじゃ、水だけ飲んでればよいのだけど、強いて言えば固形物を口に入れられれば、まぁいい。
麺類続くのはちょっと…とか3食ご飯はやだとかないわけではないのですが、かといって本当にいやかというと別に大丈夫。
食うのに困った時代を経験している父母にとっては、自分で作って自分で食べられるというのが至上で食べ物を買うなんて自分の教科書には載っていなかった。
食べようと思えば何でも食べられるこの時代。しかもうるさいことを言われず、好きな時に好きなものを食べられる、食べたくなければたべなくてもよいというのはやっぱり幸せなんだと思う。