日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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蛹を醜いと嘲り笑う者は蛹から生まれ出る蝶の姿を知らない。

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大純情くんKCコミックス

 松本零士作「大純情くん」という漫画がありました。1977年週刊少年マガジンに連載、KCコミックス3巻にまとめられ、2001年漫画文庫に。上の写真はKCコミックス版。
 コミック版、文庫版共に絶版。文庫版には、コミック版発行の際に原稿紛失で収録されなかった最終回1回前の回(探検隊出発の巻)を掲載誌から復刻収録した完全版ですので、古本で手に入れるなら文庫版がお勧めです。

 松本零士の代表作は大きく分けて「男おいどん」「大四畳半大物語」のような苦学生を主人公にした四畳半ものと「銀河鉄道999」「宇宙海賊キャプテンハーロック」「セクサロイド」などのSFものの2系統ありますが、
 「大純情くん」はこれを統合したお話し。「ワダチ」なども四畳半SFものですね。

 タイトルの名言は「大純情くん」の中に出てくる「古代催眠術大辞典」というブ厚い本に書かれた箴言で、”カーリー・インダス昆虫伝第12章”から引用したもの、ということになっています。勿論これは作者松本零士の創作です。

 この漫画、連載時に偶然読んで、コミックスも買い何度も々々読みました。松本作品は殆ど読んでいますが、マイオールタイムベストではベストスリーから落ちることはない。それくらい好きです。

 
 中学生ながら四畳半一間のアパートに一人で住む物野けじめが主人公。このアパートを中心に、不思議な出来事が次々に起こります。
 走っているはずのない超近代的な地下鉄がアパートの下を走り、町内会の計画で花見の時期が冬になり仕方なく行って戻ってきたらオンボロアパートが各戸に玄関トイレ付きのアパートになってたり。
 一番不思議なのは、けじめの隣の部屋に住む美女島岡さん。ところがけじめの部屋はどんつまりで隣に部屋はない。改造された新アパートはそもそも隣はないのに、トイレのドアから現れる。

 次々と起こる怪事件。けじめのアパートを中心にした半径数kmは昭和の佇まいをのこしていたけど、お金持ちはけじめたちの住む地域の周囲の近代的な未来都市に住んでいるらしい。外の世界はどうなっているのか、けじめの好奇心はついに真相にたどり着く。

 陰に日向にけじめを助けてくれる島岡さん。
 島岡さんが貸してくれた「古代催眠術大辞典」は、けじめが辛い目にあって部屋に帰ると本が伏せられており、そのページにけじめを励ます名言が載っています。
・できると信じていることはときとしてできることがある できないと信じていることは絶対にできはしない(ナピカ・マナムーメ)
・たのしみながら生きよ かなしみながら生きるよりそのすぎゆくときはさいわいなり(趣味大典236章)

タイトルにした
・サナギをみにくいとあざけりわらう者はサナギからうまれでる蝶の姿を知らない
は、3話目のラストのことば。
 アパートの大家さんが紹介してくれた立体テレビ出演のバイト。スタジオのちゃぶ台に置かれたラーメンとパンをただ食べるだけの楽な仕事でしたが、全国に流れたけじめの姿はボロクソに言われる落伍者のモデルとしての姿。けじめはいたく傷つき、けじめにとって決して少なくない出演料を泣きながら火をつけ燃やし、部屋で大暴れをする。ふと部屋の隅にある伏せられた「古代催眠術大辞典」を開くとこの言葉が書いてあるページでした。


 この言葉、本当に大好きで中学生の頃紙に書いて部屋の机の前の壁に貼っていました。それくらい好きでした。
 悶々としていた中学高校の頃。いつかは俺も…と思い生きていました。かっこよくもなく、頭の出来も普通、運動ができるわけでもない。特に努力もしていないのに何の根拠もなく「いつかは俺も…」って思ってたんだから、おめでたい。
 あれから40年以上経ち、当時思ってたような大人になれたかどうか、よくわかりません。サナギから蝶に成れているんだろうか。


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