映画ってすごくお金がかかります。プロデューサーは、企画を見つけてその企画を実現する為、監督やスタッフ、俳優を集め映画を完成に導く。なかでも特に大切なのはお金集め。
映画では監督が注目されがちですが、プロデューサーが映画の実権を握っているといっても過言ではありません。
昔は名物プロデューサーがいました。東宝特撮を見ると必ず最初に名前が出てくる田中友幸。
角川映画で旧弊の残る映画界に新風を吹き込んだ角川春樹。
ヤマト以外は残念ながら当たらなかったけど、日本人で知らない人は少ない(と思う)西崎義展。
そして、80年代から90年代を駆け抜けたのが松竹の奥山和由です。
実は、奥山作品は結構好きで、
津山30人殺しの「丑三つの村」。
北野武の第一作「その男、凶暴につき」2作目「3-4×10月 」「ソナチネ」。
坂東玉三郎が監督をした「外科室 」。
松竹退社後ですが金子修介監督、内田有紀主演「ばかもの 」
観ていない作品もたくさんありますが、これらは複数回見ている好きな作品です。
角川春樹が外部から映画改革をしたように、奥山は松竹という映画会社の中でも最も保守的な会社で内部から改革をしようとしていた。
タレントに監督をさせたり、松竹のカラーにそぐわないバイオレンスな作品を作ったり。
異質なプロデューサーぶりが注目されたのは完成した映画が気に入らなくて自ら撮り直しをし、取り直し前の黛りんたろう版「RANPO」と同じ時期に奥山版「RANPO」として公開したこと。プロデューサーの力はそこまで強いんだと思い知らされました。
ヒット作も多かったものの松竹社内で役員間の対立を生み、当時社長だった父親の奥山融氏とともに緊急動議で解任されるという異常な事態にまで発展する。
好きな事を実現するために突っ張って生きる。
自分にできないだけに、その生き方を羨望のまなざしで見ていた時期が確かにありました。
最近は、株式会社チームオクヤマ代表取締役社長とともに吉本興行と映画制作センターエグゼクティブプロデューサーをして映画制作を続けられています。
この本は、春日太一さんがインタビュアーとしていながら、インタビューというより、テーマを与えて奥山自身がとめどなく語るという体裁。
いまだ熱を失わない奥山和由の姿がそこにありました。
奥山和由らしい映画また見たいです。
とりあえずうちにあるDVD見直してみよーっと。
- 作者: 春日太一
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2019/10/10
- メディア: 単行本
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