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「東京の異界 渋谷円山町」

東京の異界 渋谷円山町 (新潮文庫)
本橋 信宏著・新潮文庫
「東京最後の異界鶯谷」に続く東京異界という切り口での2作目。その後東京の特定の街の裏面を描くシリーズとして「上野アンダーグラウンド」(2016)、「新橋アンダーグラウンド」(2017)「高田馬場アンダーグラウンド」(2019)と続いています。

(「東京最後の異界鶯谷」については2015.3.12、上野アンダーグラウンドについては2016.7.29感想を書いています↓)
「東京の異界 渋谷円山町」 - 日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog
「上野アンダーグラウンド」 - 日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

 渋谷円山町。
 渋谷駅から109で2股に分かれて、右は文化村通り、左が道玄坂。登り切った辺り、東急本店と道玄坂を結ぶ通りがあって、その界隈が円山町です。今通りにはこのクラブ、ライブハウスが集まっており、それまではラブホテル街、淫靡な空気が漂っていました。
 社会人になってから渋谷で仕事をしており、担当地域が神南宇田川町、事務所が桜丘町という事もあって、宇田川町から事務所に帰る時の近道としてこの通りをよく使っていましたっけ…。
 その後、ちょうど円山町と通りを挟んだ反対側のエリアに、10年くらい前から閉店までの5年ほどイベントスペース「道玄坂cafe」で人狼やカラオケをやるようになって再び足を踏み入れていました。楽しかったなぁ。

 ラブホテル街になったのは、80年代中頃かららしく、私が初めて円山町に足を踏み入れたのはそれ以降。それ以前は、明治期より料理屋・待合茶屋置屋のある”三業地”、所謂「花街」として栄えた街でした。全盛期には400名以上の芸者さんがいましたが、いまは4人(いることが驚きですが…)だとか。言われてみれば、ホテル街に似つかわしくない黒板塀の日本家屋があるなと思っていました。

 そして1997年に起きた、東京電力のエリート社員だった女性が、神泉駅近くのボロアパートの一室で殺されたいまだ未解決の事件。被害の女性が、退勤後に円山町のホテル街で街娼として二重生活をしていたという事がセンセーショナルにマスコミで取り上げられたのでかなり衝撃的でした。この本では章を割いてこの東電OL殺人事件を扱っています。
 東電OL殺人事件については、佐野眞一さんのノンフィクション『東電OL殺人事件』(2000)『東電OL症候群』(2003)に、事件のあらましと冤罪説が詳しく書かれています。

 道玄坂、文化村通りの健康的な華やかさから、表層のビルを超えて内側に入ると、ラブホ、風俗、ドラッグなど、欲望を満たす街になっている。
 
 新宿歌舞伎町もそうですが、表と裏のある地域ってやっぱり魅力的です。裏側が面白い。
 そういった意味で、本橋さんの著作はとても興味深いです。

 東京の地理を多少でも知っている人にはお勧めです。 

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東京の異界 渋谷円山町 (新潮文庫)

東京の異界 渋谷円山町 (新潮文庫)

東電OL殺人事件 (新潮文庫)

東電OL殺人事件 (新潮文庫)