日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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『高熱隧道』吉村 昭

hee2005-09-01

「こうねつずいどう」と読む。
隧道とはトンネルのこと。

黒部に旅行して、黒部第4ダムが171名もの犠牲の上に完成したものという事を知りましたが、それ以前、第3ダム建造の折はなんと其れを上回る300名以上の犠牲が出ているという事を知りました。

原因は、日本有数の温泉地帯にトンネルを掘る作業にあるという。

掘り進むうちに岩盤の温度が、40℃→60℃→90℃と最高160℃を越え、
どんどんあがっていく。

昔はダイナマイトと手掘りが主なわけで、
ダイナマイトを差し込んで、どっかーんとやった後、
人足が先端に行ってまた掘る、の繰り返し。
これだけ高い温度だと、ダイナマイトが自然発火する。
当然事故が起きる。

その上、峻厳な黒部峡谷では、雪崩は日常茶飯事。
この工事中におきたのは泡(ほう)雪崩という特殊な雪崩で、
風速1,000m/秒と音速の3倍の爆発的な雪崩が起き、
飯場が一瞬で飛ばされてしまいます。

如何に過酷とはいえ、これはすごい。

仕事って、きついものだというのは、
社会人になるといやというほど味わうものですが、
これはその限界を超えてます。

昭和11年着工。
同15年完工。

国策の名の下に進められたこの工事もやはり戦争の犠牲なのだろうなぁ。

でも、おかげさまで、電力供給は安定してくる。


話しは少し飛躍するかもしれないけど、
今私たちは、屠殺の現場に立ち会うことなく、
肉をくってますが、いろいろな犠牲(勿論食われてしまう動物も含めて)の上に
成り立っていることを感謝しないといけないなぁと思うのでした。

労働者に合掌・・・

地味な表紙ですが、新潮文庫『高熱隧道』吉村昭 お勧めです。