を(今更)読む。初版は2000年だからもう10年前。文庫化は2002年。著者は富野由悠季。ガンダムの総監督の人。
『∀ガンダム』観てないです。というか、ガンダムシリーズでしっかり全部見たのは最初のガンダムと映画版の『逆襲のシャア』『F91』位。
確かに富野さんなくしてガンダムは生まれなかっただろうし、大きな影響力があると思う。でも、集団で作るものが誰のものかといわれると、彼一人の力では到底成しえなかったものであるのも事実。オリジナル作品の著作権って難しい。ガンダムも安彦良和がキャラを描かず、大河原邦男がメカを描かなかったらここまでの名作になったかどうか。
ヤマトもいろんな人が著作権を主張しているけど、誰か一人のものとは言い切れない。松本零士のキャラ、メカデザインがあってヤマトだし。だからといって、すべて松本零士のものかっていわれるとそれも違うと思う。
じゃ、自分の発想を形にしたくて、人とお金を集めたプロデューサーや制作会社のものかというとそうでもないし。
歳をとったクリエイターが過去を否定しながらも、そこに拘って生きていくことに無理があることに気がつき、若い人の力を信じることの大切さを理解したって事でしょうか?
職人でもない限り、発想から制作そして流通、以降の管理まで一貫してできる時代ではない。であれば、どこまで自分が作ったものかを厳密に分けることなどできない。そこに付け込んで利潤を上げるのが会社という仕組みなわけで、それが理解できないとビョーキになっちゃったりする。
会社だって、それなりの環境を整えているのだから、一定の権利は主張するだろうし。(青色発光ダイオードの話もそうだね。)
自分としては、自分の能力を過信せず、あくせくしながら目の前の仕事を片付けて、そんな中でも次代につなげる努力を怠らないって程度でよいのではないかと思ったりする。
もうね、20年以上もサラリーマンやってるとそんな達観した気持ちになってきてしまうものです。もうクリエイターにはなれないね・・・。
で、富野さんの文章は相変わらず読みにくい。
簡単なことを観念的な修辞で煙に巻くのは相変わらず。まして、病んだ心情の吐露は、フリークでもない限り読んでて楽しいものではない。
富野さんの死と再生のエッセイであることにはまちがいないのだけど・・・。
- 作者: 富野由悠季
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2002/03
- メディア: 文庫
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