ついに麻雀放浪記も完結。完結編は番外編で、前巻でバイニンの世界から足を洗った"坊や哲"は、あんまし出てこない。でも坊やの1人称小説であることは変わらず。"ドサ健"やっぱかっこいいわ。時代に流されず、時代遅れとなってもこの生き方しかできない。こう言えてしまう男は魅力的です。ま、友達にはなりたくないけど。。。この魅力に男も女もコロリといってしまうのね。
ある雀荘の娘。この娘は、お客さんでもある彼ら雀士を嫌っている。お母さんがやっているこの雀荘もなくなればいいと思っている。その娘が、自分の家の雀荘で、関西から来た雀荘乗っ取り屋でもあるバイニンたちとの試合で徹底的に負けた"ドサ健"が再戦をしようとしているのを聞いて、こんなことをいう。
「競馬って、あたしやったことないけど、もしやってみたら、ちょうどこんな気持ちだろうと思うわ。あたしの眼の前にいろんな馬がいるの。あたしはその中の一頭を見て、決心するの。これに掛けてみよう、って。この馬の運命を、あたしの運命にしてみよう、って。」
こういいながら、将来の結婚資金として貯めたお金を全額下ろしてドサ健に渡す。
これって、すごい愛の告白だよね。でも 一言も好きとか愛してるって言わない。
麻雀放浪記は、不器用な男(たち)と粋な女(たち)の物語でした。麻雀、並べ方くらいならわかるって人は、読んでも面白いかもしれません。
- 作者: 阿佐田哲也
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2007/11/01
- メディア: 文庫
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