日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「エディプスの恋人」筒井康隆 を読む。

 『家族八景』『七瀬ふたたび』『エディプスの恋人』これらを総称して七瀬3部作といわれます。その最終作。実はこの『エディプスの恋人』は、前2作よりも読んでいる回数は少ない。今回3回目?位。今回あらためて買い直し再読してみると、やっぱり凄い話ではありました。
 前作で仲間たちとともに北海道の森の中で斃れた七瀬が、高校の教務課職員になっている。その時点で??となるのですが、『七瀬ふたたび』で完結している物語の続編を期待するとこんなことになるのだという筒井康隆の嘲笑が聞こえてくる。
 あすから公開の「宇宙戦艦ヤマト」のアニメ版では、第1作で感動の死を迎えた沖田艦長が完結編で生き返ってしまう。佐渡先生の「いやぁ誤診じゃったよ」の一言で…。第1作での感動は一体何だったのか。あまりにもファンを愚弄し過ぎだと思いつつも、しっかり劇場で初日に見ていたりして。
 おっと、七瀬のお話でした。『エディプスの恋人』は、『七瀬ふたたび』の純粋な続編として読むと肩透かしを食らう。高校生の頃から読書記録をつけていて一行感想なるものをつけていました。そこにある『エディプスの恋人』の感想にはこうありました。「壮大なる楽屋落ち」。
 『サイボーグ009』も「地下帝国ヨミ編」で終わっていれば永遠の名作でしたが、その後生き返りグダグダとサイドストーリーを描き続け、作者の死後まで完結編を乞われる結果となる。
 魅力的な主人公は、作者の意図に反して動き出してしまう。しかし、それを生み出しているのは紛れもなく作者なのだ。続けようと思えばいくらでも続けられるが、あえて続けない事の筒井康隆の美学を『エディプスの恋人』には感じるのです。
家族八景』『七瀬ふたたび』はお勧めですが、『エディプスの恋人』は評価分かれるかも。私的には今回読んでまた新たな発見があり、以前よりも拒否反応はなくなりました。やっぱ筒井はすごい。

エディプスの恋人 (新潮文庫)

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