86年だから、大学2年。初めて池袋文芸坐ル・ピリエで観て以来、私にとっての映画ベストワン作品。今回、シネマバー「グリソムギャング」でスクリーン上映をすることになり行ってきました。しかも今回は、小中和哉監督をはじめ主演の神田裕司さん(森昭雄役)関顕嗣さん(尾崎役)によるトークショウもセッティング。長年の「星空―」フリークとしては行かない通りはありません。
複数回観ている映画はけっこうありますけど、初見以来、ビデオ・DVDを含め、恐らく100回は下らない程観ている映画はこれしかありません。8mmの自主制作からスタートした小中監督が初めて16mm商業映画に挑んだその気迫。すべてのカットに魂がこもっていると感じる映画はそうあるものではありませんが、「星空―」は間違いなくそんな作品のひとつ。
出演者は、ほぼすべてが素人ですので演技を期待してはいけません。映画の評価が、制作にかかわったスタッフ、出演者の総合得点だとするなら恐らくこの作品の点数は及第点に決して達していないと思います。それでもなおこの作品が私にとってのNo1作品なのは、眼に見えない"監督"という存在の意思が、フィルムの隅々に行きわたっているのを感じる作品だという点です。俳優が立つ映画はいくらでもあるし、脚本の良さがわかる映画もたくさんあります。でも弱冠22歳で、ここまで監督の作家性を前面に押し出している(結果的に出てしまったのかもしれませんが)作品はないと思います。
さて上映後のトークでは、「星空―」に纏わる話を3者から聞くことができた。実は理沙役は、南果歩さんになる予定だったという話(内諾は得ていたけどテレビ小説の主役が決まり流れたそう)とか、途中からカメラマンさんが抜け、小中監督自身がカメラを回したという話、関東中央病院で昭雄と尾崎が逢うシーン(長いワンカット)で、尾崎役の関さんが6回もNG出して監督が本気でキレた話、全編絵コンテを書いたのはこの作品だけなど、「星空―」についていろんなところで語っているのを収集してきた私も初めて聞く話があり大変満足でした。
そのあとの懇親会でもここでは話せないような、昭雄役の神田さんの「レッドビッキーズ」での話や現在の映画制作の話(神田さんは、映画界から一時離れていたけど、30歳頃ふたたび映画の世界に戻り、「オペレッタ狸御殿」や「姑獲鳥の夏」「魍魎の匣」の制作にかかわっている)、小中監督とは最新作「七瀬ふたたび」の話
など、興味深いお話を聞くことが出来ました。
明日は、脚本、ノベライズの小林弘利さんが来られる。また違う話を聞きに行って参ります。
懇親会でのショット。口頭ですけど掲載許可ただきました。
(向かって左から尾崎25年後、小中監督、昭雄25年後)