日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

思ったこと、思っていること。読んだ本、観た映画、TV。聴いた音楽…。会社でのこと、家族のこと、自分のこと。日々のうつろいを定着させています。はてなダイアリー開始は2003年、2006年4月から毎日更新継続中。2017年6月8日「はてなblog」アカウント取得、2019年1月「はてなダイアリー」から正式移行しました。アクセスカウンター2019年01月26日まではpv(2310365)です。

団鬼六氏 逝去

 団鬼六というと、SM官能小説の大家と呼ばれることが多い。勿論その手の作品が多いのは事実ですが、彼の作品では官能小説以外の私小説やエッセイの方が断然面白かったりします。特に断筆後に書かれた幻の破天荒な将棋指し小池重明との数年をつづった「真剣師 小池重明」は傑作です。
 70-80年代、にっかつロマンポルノで「団鬼六の」というかぎかっこ付きでたくさんの作品が映画化されました。ご自分でもピンク映画の独立プロを作ったり、SM小説誌を発刊したり、周りの目なんか一切気にせずやりたいことをやる人生は、本当にうらやましい。こういう生活をしていると自分勝手な人のように見えるけど、実際は周りの人にすごく気を使い、楽しませる人だったらしい。
 幻冬舎文庫で旧作が再刊された時に殆どの作品を読みました。SM小説はあまたあれど、団鬼六の作品の肝は羞恥であって、単に女性を痛めつけ苦しめるような肉体的暴力に嗜虐の喜びを見出すものではない。文章も巧みでどの作品を読んでもとても読みやすい。
 晩年の傑作「最後の愛人」は、齢70を越えた老境の作家が、24歳の若い愛人を自分好みの女にする物語。団鬼六氏の実話に基づく物語で涙なくして読めない。
 金になる官能小説もよいのですが、こういった作品をもっと読みたかった。
 享年79歳。
 ご冥福をお祈りいたします。