映画作りの最初で、最大の難関が資金集め。数千万では厳しい。数億なんて当たり前。それでもその枠で納まるかどうかは初めてみないとわからない。出来がいい悪い以前に映画を成立させるだけでそれは大変なんだということが、切々と描かれている。
小説の形をとっているけど、梁石日が映画製作にかかわった数年の事を書いたほぼノンフィクションらしい。
知れば知るほど、映画って魔物。大好きだけど、自分は足を踏み入れてはいけない世界。映画って芸術だと思うけど興業的側面は間違いなくある。たくさんのフィルムを焼いて、全国のスクリーンで掛かって、たくさんの人に観てもらって、DVDとかになったらみんな買ってくれて初めて利益が出る。その為にはたくさんの予算がかかる。フィルムをプリントするのだって無料じゃない。天気が悪くて予定のシーンが取れなければ、撮影期間も伸びる。機材のレンタル料、出演者の拘束料も莫迦にならない。それでも映画人は映画を撮る。何のために。
私の問いに「好きだから」と、先日、小中監督は言いました。
そーだよなぁ、好きじゃなきゃ絶対にできない。好きというだけでは語れない、魅了されているんだよね。
そんな魔物に魅入られた男たちの物語でした。
- 作者: 梁石日
- 出版社/メーカー: 光文社
- 発売日: 2009/07/09
- メディア: 文庫
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