新堂冬樹、結構読んでます。これはデビュウ作。もともと金融会社で働いていたという経歴の持ち主で、ヤミ金融を舞台にした小説が多い。所謂犯罪小説で、黒新堂と呼ばれるもの。この対極にある純愛小説も書いており、それは白新堂と呼ばれています。「血塗られた神話」は、単に残酷描写や社会の裏側を書いた物語でなく、白新堂に繋がる崇高な純愛的要素もあり、デビュウ作はその作家のすべてが詰まっているというけれど、まさにこの作品はそういう作品でした。
主人公は、金融会社を経営する若手社長。かつては苛烈な取り立てから悪魔と呼ばれていたけれど、5年前顧客が自殺した頃から、変わり始める。
元々、主人公の親が、安易に連帯保証人になってしまい、家庭がめちゃくちゃになったという経験があり、その反動で、社会、特に金を借りて返さない人間に憎悪を抱くようになった。
その頃、とても慈悲深い女性、京子に出逢い、昔の優しい気持ちを取り戻していたところに顧客の自殺があり、京子の元から離れた。
それから5年経ったところから物語が始まる。5年前同様、顧客が誰かに殺され、警察は金貸しの主人公のもとに。更にその殺された男の肉片が主人公の元に届けられる。
男を殺したのは誰か?それを追ううちに、社員や周りの人間が何者かに襲われる。どうやら真のターゲットが自分であることに気づく。真の犯人は?そして、その魔の手はかつての恋人の京子にまで…。みたいな話。
最近の新堂冬樹は、芸能プロとか起業して、サンデージャポンとかのコメンテーターをやっていたりする。その姿は、日サロで不自然に焼いた怪しい感じ。とてもじゃないけど、純愛小説を書くようには見えない。
作家がTVとかに露出するのも善し悪しです。
あ、この話は面白いです。ちょっとグロい描写もあるのでそういうのが大丈夫な人にはお勧めです。
- 作者: 新堂冬樹
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2008/10/01
- メディア: 文庫
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