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「「仮面ライダー響鬼」の事情」 を読む

 副題は「ドキュメント ヒーローはどう<設定>されたのか」 片岡力著。
 「―響鬼」は、2005-06にかけての平成仮面ライダーシリーズ。「仮面ライダー」の初回放送は1971年、私は小学校1年生でどっぷりライダー世代。しかしながら「―X」「―アマゾン」になる頃には気にはなっていましたが、1話と最終話を見る程度で一般の方同様、卒業していました。
 しばらく間をあけて始まった「―BLACK」「―BLACKRX」も大学生だった為、あまり熱心に観ておらず、特に「―RX」では、一人のライダーが3形態に変身したり、ライダーなのに自動車に乗ったりと、どーも納得いかなかったのを覚えています。
 平成ライダーシリーズは、イケメン俳優の登竜門として完全に定着した感があります。「―クウガ」のオダギリジョー、「―アギト」の賀集利樹要潤、「―555(ファイズ)」の半田健人、「―カブト」では水嶋ヒロ山本裕典「―電王」は佐藤健くんなど、ハードなストーリー展開で大人の男性が、出ているイケメンさん達でお母さん方を引き付ける作戦に成功。実は、自分たちの1st世代(「仮面ライダー」〜「RX」までで9作品)よりも平成ライダーの方が長く続いています。

 さて本書のテーマとなっている「仮面ライダー響鬼」ですが、これは、「仮面ライダー」の冠がついていますけど、中身は全然仮面ライダーではありません。そもそも主人公がバイクに乗れず(後半練習して乗れるようになる)劇中では「仮面ライダー」とは一切言われない。主人公たち変身する人たちのことを"鬼"と呼称されます。 世界征服をたくらむ悪の秘密結社も出てきません。人知れず出てきては人を食べたり殺してしまう怪物を退治する人々という位置づけ。
 平成ライダーシリーズでは、ライダーになる道具を手にれると誰でもすぐにライダーになれるという作劇がすべてではありませんがあって、それもいまいち乗れない理由でしたが、響鬼は、しっかりと心身を鍛えること(勿論素養もあると思いますが)で鬼になります。
 敵組織に拉致され無理やり改造されるという「改造人間」の悲哀は、平成シリーズにはありませんが、道具を手に入れれば誰でもその能力を手にすることができるというのは違うんじゃない?と思っていたので、鍛えて鍛えて鍛えた果てに変身できるようになるというのは、わたし的に納得でした。
 平成ライダーシリーズの中では、かなりお勧めな「―響鬼」。しかしながら、この作品は前半29話までとそれ以降、プロデューサー以下主要スタッフが交代して、雰囲気は保ちつつも別作品と言っていいほど随所に違和感を感じます。そこら辺の事情は色々な憶測がとんでおり何が本当かはわかりません。
 今回のこの本は、プロデューサー交代(更迭)にかかわる事情について書かれたものでは有りません。著者が文芸チームとして「―響鬼」の制作にかかわった経緯と、どのようにして「―響鬼」という作品が出来上がっていったのかが順を追って書かれています。この本を読むことで、この不思議な仮面ライダーの誕生の意味がわかります。

 そもそも、仮面ライダーは前作の「―剣(ブレイド)」で一旦終了する(させる)腹積もりで当初の企画が立ちあがったとのこと。元々のモチーフは、「変身忍者 嵐」の現代風リファイン。それが二転三転して結局仮面ライダーシリーズになった。
 面白いのは、石ノ森原作作品を元に企画を考えていて、全く経路の違う作品だったとしても、いざ仮面ライダーフォーマットに乗せようとした時、大きな問題なく移行できてしまうという点。そういう意味では、石ノ森作品の一貫性は、非常に優れたフォーマットだということです。(ワンパターンという言い方もできる…おっと) 
 また、たかがジャリ番(子供向け番組)でも、その制作はとても時間がかかり、大の大人が真剣にかかわっていることがよくわかりました。画面には一切出てこない登場人物の人生、来歴、世界観がしっかりかきこまれているからこそ、世代を越えて楽しめる作品になるのだということ。これは、一般のドラマにも言えることで、バックボーンがしっかり検討されていればいるほど物語は楽しく、興味深いものになります。
 結局、ドラマとして描かれる部分がすべてではないことを観客は知っています。だからこそ、ここに至る経緯とその後物語に思いを馳せることができるのではないかと思うのです。


この本2,400円するんですよね。この手の本はマニアック(07/4発行なのにまだ初版が店頭に出ている)で、なかなか売れない。当然初版部数が少ないから、仕方ないと思うんですけど、逆にもっと読んでほしいなら価格を抑えるとよいと思うんだけどなぁ。響鬼関連では「響鬼探求」という本も出ていますが、これが、更に高い2,940円。価格は価値観の問題なので一概に言えませんが…。

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「仮面ライダー響鬼」の事情―ドキュメント、ヒーローはどう“設定”されたのか

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