矢作俊彦作。
「傷だらけの天使」に思い入れのある世代は私たちの年代位までだよね。もっとも本放送ではみていなくて、後で再放送をした時にしびれたクチですが。ショーケンが電車の音とともに起き、曇った競泳用メガネを押し上げ、魚肉ソーセージ、コンビーフ、リッツクラッカー、トマト、牛乳の朝食を延々映すだけのオープニングは観たことがあるはず。音楽だけ、自動車のCMにも使われたりしていますね。
傷だらけの天使 1974 Soundtrack
このお話は、TVシリーズの純粋な続編。水谷豊演じる弟分の亨(あきら)が、風邪をこじらせて死んでしまい、ドラム缶風呂に入れてあげるショーケン・修(おさむ)。夢の島にドラム缶ごと亨を運んだ30年後、修は賭けゲートボールに興じるホームレスをしていた。そんな中、ホームレス仲間のドーゾが、「コグレオサム」と間違われて殺されてしまう。犯人を追いかけるうちに、昔の知り合いが続々とからみだす。昔、雇われていた探偵事務所々長、綾部貴子(TVでは岸田今日子・演)、綾部の秘書・辰巳(同じくTVでは岸田森)。他にも当時の仲間や関わりのある人間が続々と。ホーン・ユキ演じる京子は、最終回後殺されているという設定でした。好きだったんだけどなぁ。
というわけで、TVシリーズを熱狂的に観ていた人にはお勧めの一篇です。修の一人息子、「高倉健の健に菅原文太の太を取って健太」君も…。おっと、これ以上はネタバレ。
文庫版解説は映画監督の川島透で、最後の一文がウィットにとんでいますのでご紹介します。
「どこかで耳にしたが、水谷豊はあの頭の悪い亨の役が嫌で嫌で堪らなかったらしい。ま、何れにしてもこの魅力的で性悪な奴らとは早いとこバイバイして、新しい"相棒"でもめっける方が賢いってもんだ、なあ、亨。」
- 作者:矢作 俊彦
- 発売日: 2011/02/15
- メディア: 文庫