BOOKOFFですけど。コミックス(全11巻)で持っていますが、文庫版全6巻揃って棚にあったので買い直し。
楳図かずおの長編で1作を選ぶとしたら、これか「イアラ」か。
クリエイターの創作心をくすぐるのか、大林宣彦の映画版、フジのTV版(ロング・ラブレター〜漂流教室〜)と、2度も映像化されているけど、どちらもとほほ…を通り越して、映像化に寛容な私でさえ擁護に困る内容になってしまうのは、原作の真意をあまりにも理解していない故か。。
小学校が時震で未来へ飛ばされる。一緒に未来に行った大人(先生、給食のおばさんたち)は早々に舞台から消え、最後まで生きていた大人(パン屋の関谷)は醜悪な人間と描かれる。未来は子供たちの世界。様々な対立を経て、荒廃した未来を受け入れる子供たち。今を変える為に過去に幼児を送り出す少年たち。
大人の偽善は、本当の絶望の中では何の役にも立たない。そんななかでも未来を信じることのできるのは子供たち。あらゆる困難に自分たちの力だけで立ち向かっていく。辛いことも多いけど、もう大人の助けは得られない。
この物語は、少し早い通過儀礼を迎えてしまった少年たちの物語。しかもこれまでのしがらみを一切なくし、新たな世界を構築する物語です。
「少年たちが過去に帰ってくること」は、連載中に葛藤は有ったと思いますが、元々楳図かずおの中になかったのではないかと思います。だから、第1巻冒頭は、主人公、高松翔くんによる回想からはじまるのだと。
読んだことない人は、お勧めです。楳図かずお、絵が怖いので食わず嫌いの人も多いけど、これは永遠の名作です。
漂流教室 文庫版 コミック 全6巻完結セット (小学館文庫)
- 作者: 楳図かずお
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/03/01
- メディア: 文庫
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