先日の上映会で購入、目の前でご本人にサインをいただきました、この本は、毎日新聞で1年3ヶ月に渡り連載されたインタビューを1冊にまとめたもの。原田美枝子さんは70年代から今まで、結婚、3度の出産を経ていまだ第一線で活躍する俳優さん。「女優」というは、好きじゃないそうです。「『女優』という言葉には、『芝居をする』という以外の華やかさや、傲慢さといったような、何か特別な存在を表す臭いのようなものがついてまわるんです。だから自分の事を話すときは「直接の仕事」として俳優といいたくなるのです。」と。こういった言葉選びからも、原田さんが俳優としての仕事に対してどのような姿勢で向き合っているかが分かります。
14歳で鮮烈に銀幕デビューし、たくさんの役柄をこなした原田さんの軸足はやはり映画。この本では、原田さんの関わった映画の中で特に自分の人生に影響を与えた代表作について、当時の想い出話やその時の心境について語られています。過去を振り返る本は自分で著す半生記もありますが、この本の面白いところは、本人が覚えていないような事や本人の発言を補完する為に周辺の人々(共演者、監督はじめスタッフなどなど)にもインタビューを行い、その発言の中から著者自らが感じ取ったものも記されている点。自分で書いていると、嫌なことからは逃げてしまったり、美化してしまう部分が少なからずある。そういう本も読んだことは有るけど「なんかきれいに書き過ぎじゃね?」と疑問に思う事もある。そういう意味では、もっとも原田美枝子本人の本質に迫った本ともいえます。
直接お逢いして一言二言しか会話はしていませんが、原田美枝子さんは本当に素敵な人でした。生きている事をそのものを糧として俳優という仕事に生かしている。仕事だけに向き合っていていてもいけないし、生活だけに向き合っていてもいけない。いろんな事が相乗効果となってそれぞれの場で生かしていくことが大切。その為には、何事に対しても一生懸命であること。私も見習おうと思います。
どなたが読んでも興味深く読めると思いますが、特に邦画好きの人には是非読んでほしい1冊です。
- 作者: 鈴木 隆
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 2011/10/21
- メディア: 単行本
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