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黒澤の「虎虎虎」脚本公開

「オリジナルシナリオ電子書籍に 黒沢監督版「虎虎虎」」(asahi.com 2011年12月4日17時5分)
真珠湾攻撃の日米の動きを題材にした映画「トラ・トラ・トラ!」。攻撃から70年を迎える8日、監督を途中で降板した黒沢明さんのオリジナルシナリオが、電子書籍として無料で公開される。当時の撮影風景の写真や直筆の絵コンテも閲覧できる。これまでオリジナルシナリオの内容は公開されていなかった。■この映画は1967年、米20世紀フォックス社と黒沢プロ提携での制作が発表され、68年12月に撮影が始まった。だが、黒沢さんは撮影開始から約3週間で監督を解任され、3年後の71年に自殺を図った。解任前後の5年間は黒沢さんにとって「失われた5年間」と言われる。■今回公開されるシナリオは「虎虎虎(準備稿)」。黒沢さんが脚本家の小国英雄さん、菊島隆三さんとともに、67年1月から約5カ月かけて執筆したもので、659ページに及ぶ。シナリオは30回近く書き直されて映画化された。(後略) 


黒澤明が満を持してハリウッドとの合作に挑んだものの、ハリウッド式映画製作システムと正面衝突、挙句の果てに心身喪失(扱い?)されて、監督降板となった曰くつきの作品。結局、舛田利雄が後を引き継いで映画「トラ・トラ・トラ!」は完成したものの、黒澤の脚本のまま撮影していれば完成された映画以上に大傑作になったと言われています。その脚本が、無料で電子書籍化されるというのですから、黒澤映画好きの方は必読でしょう。
 一番脂の乗った時期に、「暴走機関車」に続いてこの作品に掛かりきりになって、しかもこれらハリウッド資本の企画が次々に流れてしまい、挙句の果ての自殺未遂で、約5年の歳月何の映画も撮られていないのは返す返すも残念。
 しかしながら、撮影所システムの崩壊、斜陽化する映画産業、観客の激減と黒澤明の神通力も通用しなくなっていた。その後初のカラー作品「どですかでん」を作るけど、かつてのダイナミックで繊細でしかも娯楽作品としても第1級の映画とは一変していました。
 「影武者」('80)「乱」('85)と時代劇に戻ってきましたけど、当時の私が観たかったのは「七人の侍」「隠し砦の三悪人」を越えるような作品でしたが、どうも辛気臭い芸術映画になっていて幻滅した覚えがあります。でも、「影武者」の時が70歳、「乱」が75歳ですから、もう「七人の侍」のようなエネルギッシュな作品が撮れるお歳ではなかったのですよね。。
そういう意味でも、このハリウッド映画に賭け、挫折したのは返す返すももったいなかった。
 シナリオを読んで、黒澤映画の一本として、脳内に再現したいと思います。

肝心の公開場所はこちら→http://binb-store.com/
Books in Browsers 方式なので、ソフトをダウンロードすることなくweb上で観れるそうです。(株式会社ボイジャー
公開終了しているようです。(2016.10.28)