日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

思ったこと、思っていること。読んだ本、観た映画、TV。聴いた音楽…。会社でのこと、家族のこと、自分のこと。日々のうつろいを定着させています。はてなダイアリー開始は2003年、2006年4月から毎日更新継続中。2017年6月8日「はてなblog」アカウント取得、2019年1月「はてなダイアリー」から正式移行しました。アクセスカウンター2019年01月26日まではpv(2310365)です。

「黒澤チルドレン」 を読む。

 西村雄一郎著。小学館文庫。
 映画評論家西村雄一郎さんの著作を読んだのは、「黒澤明 封印された十年」に続き2冊目です。黒澤明が98年に亡くなって今年で13年、生々しい黒澤像を描ける人がどんどん鬼籍に入ってきています。そういう意味からも黒澤明関係者の方には自分の体験を語ってほしいと思います。
 この「黒澤チルドレン」は、黒澤明および作品に多大な影響を受けた内外の監督、俳優を取り上げ、どのような点が黒澤の影響下にあるかを表わした作品。勿論ここに描かれている本人たちも黒澤チルドレンである事を公言している方が多い。
 「トラ・トラ・トラ」でハリウッド進出が失敗し、失意のうちに小品「どですかでん」を撮るも興行的には失敗、自殺未遂をしてしまう黒澤明に手を差し伸べたのは、ソビエト(『デルス・ウザーラ』)であり、、ジョージ・ルーカスフランシス・フォード・コッポラ(『影武者』)、フランス(『乱』)、スティーブン・スピルバーグ(『夢』)などの世界の映画人たちだった。
 映画を撮るには金がいる。まして、黒澤ほどの完全主義者には、いくらあっても足りない位。そんな彼に対して「経営的センスがない」という人もいるけど、黒澤に予算との折り合いをつけるようなサラリーマンみたいな事をさせてはいけない。会社としては予算内に収まり、撮影日数も守って、しかも大入りになって、出来れば海外でも高い評価を得る作品を作る事が出来る監督、しかも監督が思い描いた世界を余すところなくフィルムに定着できる事が一番よいのでしょうが、それらを並列出来るような監督は皆無でしょう。
 仕事って、全てひとりで行うのには限界があって、分業体制でそれぞれの人がしっかりと能力を出すことで名作を仕上げることが出来るんだと思う。これは映画も普通の仕事も同じ。だから、自分の得意分野を見つけて、協業体制を築く事が大切。"歯車"という言い方は悪い意味で使われる事が多いのだけど、どれか一つ抜けても、時計が正確な時を刻めないように、誰が偉いとか偉くないとかじゃなく、確実に仕事をこなす事が大切なんだと思います。
 黒澤が映画界に残した影響は計り知れない。これからも黒澤のチルドレンの活躍、そして、更にその影響を受けた映画人が永遠に育っていくことを願い、これからも素晴らしい映画を作ってくれる事を期待しています。

黒澤チルドレン (小学館文庫)

黒澤チルドレン (小学館文庫)