樋口尚文著・平凡社新書・2009年
年末年始にかけて読みました。樋口さんの著作は、04年上梓『「砂の器」と「日本沈没」 70年代日本の超大作映画』(筑摩書房)で、70年代の大作映画について書かれており、その前段として過去の映画興行形式である2本立て3本立て興行(プログラムピクチャ)について書かれたのがこの本。
70年代といえば、映画産業が斜陽に向かっている時代で、自分が5歳から15歳位の時期。それでも映画を観に行くのはイベントでした。当然子どもだったので、ロマンポルノは観ておらず、映画も小さい頃は休みの時期にやる「東映まんが祭り」とか「東宝チャンピオンまつり」とかでした。
その後、高校生の頃はアニメ全盛期で、ガンダム、ヤマトはじめアニメ映画の封切りは結構観てましたね。で、予備校〜大学生の頃(1983〜1988)位は、封切り作品も観ていましたが、どちらかと言えば名画座で過去の作品をやたらみていました。ロマンポルノも結構観たなぁ。恐らくこの5年間で400本位は観てます。いまとなっては、よく映画関係の仕事に着かなかったと思います。
だから、今でも特に好きなのは、70〜80年代の邦画です。映画人口がどんどん減って、自前の撮影所で社員スタッフと社員俳優を使い映画を作り配給をする一貫したシステムが維持できなくなる。大会社日活も"にっかつ"になって10分に1回裸があれば何でもありの作品を量産。東映はエログロ作品を乱発。そんな時代だからこそ、映画人の最期の生き残りたちが、知恵を絞りただの裸映画、エログロ映画ではない作品を送り出していく。
最近少しずつDVD化されていてたまにレンタルだれているのを観たりするとほんとによくできていて、ロマンポルノは確かに「映画」で、今のAVとは全く異なる。ロマンポルノがレンタルビデオのアダルトコーナーではなくて一般コーナーにあるのも1回観れば頷けます(ちょっとタイトルが恥ずかしいけど…)。
しかし、この手のプログラムピクチャがDVD化されるのはごく少数。映画会社の倉庫の奥底に眠ってしまい人の眼に触れる機会はこれからもそう多くないかもしれない。フィルムが劣化する前に、デジタル化してほしいけど、一般的に売れるもんじゃないからなかなか難しいだろーなぁ…。
70年代邦画に興味のある方は、前著(『「砂の器」と「日本沈没」 70年代日本の超大作映画』)と共にお勧めです。
樋口さんって電通の社員さんなんですね。いいなぁ二足の草鞋でこんなに素晴らしい本がかけて、仕事もしっかりとできている。理想です。

ロマンポルノと実録やくざ映画―禁じられた70年代日本映画 (平凡社新書)
- 作者: 樋口尚文
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2009/07/01
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- 作者: 樋口尚文
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
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