日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「犬神家の一族」(1977TV版) を観る。

 「犬神家の一族」は、1950年の発表以来、たくさん映像化されています。なかでも、角川映画第1回映画作品(1976)として発表された、石坂"金田一"が特に有名ですが、これに連動して、映画の大ヒットの興奮冷めやらぬ約半年後にTBSの「横溝正史シリーズ」第1作としてTVドラマ化されたのが、古谷一行金田一耕助版の「犬神家の一族
 
 これ当時観てはいたんですけど、どうしても映画の印象が強くて、あまり好きになれませんでした。出ている俳優さんも、古谷金田一、松子夫人の京マチ子はいいとして、その他の俳優さんのキャラが立っていず印象が薄い。それと、音楽が、映画版の、あの印象的な大野雄二のインパクトがなく、淡々と進んでしまい、TV化のチープさを感じてしまったのでした。
 で、今回、見直してみても、印象はそれほど代わりませんでした。映画が、2時間26分、このTV版は、全5話だから、約4時間半。2倍近い時間をかけていながら細部が描けていないのはどうしたものか。「傷だらけの天使」や「必殺シリーズ」を手掛けた工藤栄一監督とは思えない凡庸な作り…。
 映画版では、松子夫人は、琴を趣味としているので、佐智(すけとも)の殺人の際、琴の糸が重要アイテムになる点も納得できますが、この版では能を趣味としているので、琴糸をどこから入手したのかよくわからない。それに、映画版では、琴の指導を岸田今日子扮する盲のお師匠さんに受けている時に中座して殺人をしている事を、琴の音で「なにかあった」と思わせるシーンがありますがそれももちろんない。猿蔵も喋りすぎ。
 極めつけは、金田一が謎解きをする最後のシーンで一言も第一の殺人(金田一を犬神家の事件に巻き込んだ古舘法律事務所の助手若林さんの殺人)について一切触れない点。映画の倍の時間を使っていながら、ど素人の私があれ?と思ってしまうほど、何故こんなに抜けがあるのか疑問…。
 さらに、最後のシーン、佐清の帰りを待つと言っていた野々宮珠世さんは、駅にいて東京に行くという。おいおい、待ってんじゃねーのかよと。

 「犬神家の一族」は、76年映画版だけみればよいですね。ちなみにこれまで映像化されているのは、映画が3つTVが5つ
 映画
 1954年※渡辺邦夫監督(「明治天皇日露戦争」の監督!)、タイトル:「犬神家の謎 悪魔は踊る」、金田一耕助片岡千恵蔵
 1976年※市川崑監督、金田一石坂浩二
 2006年※市川監督リメイク金田一は勿論石坂浩二
 TV
 1970年日本テレビ(タイトル「火曜日の女・蒼いけものたち」※現代に置き換え、金田一は出てこない)未見なので観てみたい。。
 1977年TBS(タイトル「横溝正史シリーズ・犬神家の一族」、古谷一行が初めて金田一を演じたシリーズ第1作)
 1990年フジテレビ(タイトル:「横溝正史傑作サスペンス・犬神家の一族金田一中井貴一。造形がこれまでと大きく違いメガネをかけ知的な感じ?だけど助手がいる。)
 1994年フジテレビ(タイトル:「金田一耕助シリーズ5・犬神家の一族金田一は、片岡鶴太郎。頑張ってるけど鶴太郎の金田一ってあんまし好きじゃないんですよねぇ)
 2004年フジテレビ(タイトル:「プレミアムステージ・犬神家の一族金田一耕助SMAP稲垣吾郎ちゃん。実は、そんなに嫌いじゃない。ゴロちゃんは暗いので思索する雰囲気は今の若手の中でも一番絵になるような…。)

 おそらくこれからも「犬神家の一族」は映像化されるに違いない。
 原作を改変するのは仕方ないし、76年の映画版の完成度が高いから多少それに引っ張られるのは仕方ないけれど、お話として破綻していない映像化を臨みます。
 

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