日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「For You」五十嵐貴久 を読む。

 五十嵐貴久さんは以前当blogに直接コメント頂いて以来、何冊か読ませていただいております。文庫になってからが殆どですけど。
 「パパとムスメの7日間」とか新垣結衣舘ひろしでTV化したり、「交渉人」あと、デビュー作の「リカ」も映像化されています。かように、五十嵐さんの作品はクリエイターが映像化したくなるような、情景が脳内に浮かびやすい文章です。
 「ForYou」は、主人公の叔母様が急逝するところから始まる。全部で7章あって、奇数章は、現代、主人公の編集者朝美が、韓流スターに取材をする物語。偶数章は、叔母様の遺品を整理していた中にあった日記をもとに叔母様の青春時代が描かれます。
 この叔母様の青春時代というのが丁度自分と同じ時期(厳密には、少し上の世代)。これは五十嵐さんの年齢なんでしょう。なもんだから、この偶数章の方がどちらかというと私的にはシンクロ率が高い物語でした。携帯電話とかなくて、想いを伝えるのももどかしい高校時代。グループ交際…はしていなかったな。共学だったけど。でも、なんか地方都市の高校生のあの頃がビビットに描かれていて、とても良い話。
 過去の話と現代の話とが、最終章に交錯する見事な構成。
 これ以上は、ネタバレになりそうなんで、出来れば読んでもらった方が良いです。

 物語って、キャラクターが立てば立つほど収拾がつかなくなって、どんどん長くなってしまう場合があります。これは作家の力量不足ではないかと思うのです。そういった意味で、五十嵐貴久さんは、本当に職人だなぁと思います。そして小気味よいエンディングはいつも通り。

 特に80年代に高校時代を送った人には、お勧め。

For You (祥伝社文庫)

For You (祥伝社文庫)