日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「溝鼠」 を読む。

 新堂冬樹著 徳間文庫。
 ”みぞねずみ”って書いて”ドブネズミ”と読むんだ…。新堂冬樹ノワール小説。一般的に「黒新堂」と呼ばれる作品。新堂冬樹には、徹底的な残酷描写の「黒新堂」と、血が一滴も流れない純愛小説「白新堂」という2面の小説群がある。私の新堂冬樹スタートは「黒新堂」だったので、黒の印象が強い。
 
 復讐代行屋を営む主人公鷹場。冒頭から目を背けたくなる復讐シーン。その依頼された復讐事案が罠だった。罠を仕掛けたのは、小さい頃、お仕置きと称して鷹場に虐待を加えた実の父親。その父親の為にヤクザに売られた姉・澪。この3人が揃って2億の金を横取りするゲームが始まります。
 もう登場人物の全てが卑しい人間ばかり。残酷描写もしつこい。全然感情移入ができるキャラクターがいない。でも、どんどん話に引き込まれる。ここまであからさまな悪ではないにせよ、自分の中にも間違いなくある悪の部分が誇張されている事を潜在的に感じているのかもしれない。あ、決して、この小説にあるような事をしたいとは思っていません。否定をしながら登場人物たちの悪を肯定している自分。人には、「良くありたい」と思う心だけでなくその反対のこころも間違いなくある。「悪くなりたい」というよりも、既にある黒い部分を白で塗りつぶそうとしていても、白で黒を塗りつぶせない感じとでもいえば良いのか。。
 守るべき人間がいると人は強くなれると「悪人」の時に書きましたが、この小説もそういう話でした。自分の命より大切な何かって何?。そんな疑問を感じる小説でした。

溝鼠 (徳間文庫)

溝鼠 (徳間文庫)