日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「竜二」 を観る。

 先日TSUTAYAでレンタルしました。VHSも持っていてもう何度も観ているけど、DVDは初めて。
 1983年公開。川島透監督ですが、それよりも主演の金子正次の映画です。脚本も金子(鈴木明夫は金子のペンネーム)。
 スタアに憧れてスタアになりたくて、でもあと一歩のところで表舞台に立てないアングラ劇団の役者。そんな金子が、「じゃ自分でつくっちゃえ」って事で、脚本を書いた。しかし、映画会社に持って行っても、脚本だけなら買うけど、主演もセットとなると渋ってしまう。でも、金子は自分が主演する為に描いた脚本だからそこは譲れない。
 そこで、監督はじめスタッフも集め、金策もして作ることになる。それが「竜二」という作品です。そこら辺のこの映画の制作過程を映画化した「竜二Forever」という作品(2002年)もあります。
 なんで、そこまでこの作品が伝説となったのか。それは、作品の出来もさることながら、主演の金子正次が33歳の若さで公開中に亡くなったから。というと身も蓋もないけど、でも、彼の死によって、映画がヒットしたのは、ある面間違いないこと。

 映画は、竜二というやくざ者が、足を洗ってカタギになるけど、結局またヤクザの世界に戻っていくという話。

 金子は、5本のシナリオ(「竜二」「チンピラ」「ちょうちん」「獅子王たちの夏」「盆踊り」)を残しました。
 この中で、「チンピラ」は2回映画化(「チ・ン・ピ・ラ」(1984)、「チンピラ」(1996))され、「盆踊り」だけまだ映画化されていません。

 この頃、東映やくざ映画も下火になり、やくざものの映画が作られていなかった時代。そんな中、出てきたヤクザが主人公の映画でしたが、これまでの銃弾が飛び交い、日本刀で暴れまくる抗争劇ではなくて、一人のやくざもんの苦悩を描いた作品でした。
 84年の「チ・ン・ピ・ラ」は、本来の川島透監督の感性か、時代にあったPOPな仕上がりになっていましたが、底に流れるものは、「竜二」と通じるものがありました。

 ほんと惜しい人を亡くしました。
 ただね、思うのです。これだけの才能があれば、創る側に回っても良かったんじゃないかと。映画って、スタアばかりじゃできないし、様々なスタッフがその能力をいかんなく発揮して初めて名作が生まれる。と考えると、出演者だってそのパーツの一部なわけで。もし金子が生きていたらそういう境地に立つこともできて、いずれは自分が主演できる日もあったに違いない。
生き急いでしまった男。でもそのパッションはこの「竜二」と5本のシナリオで見事に花開いた。

竜二 [DVD]

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竜二 Foever [DVD]

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金子正次遺作シナリオ集 (幻冬舎アウトロー文庫)

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