鈴木みそ著 エンターブレイン刊 今回で完結。最終巻でした。
限界集落ってゆうのは、65歳以上の高齢者が、人口比率で住民の50%を超えた集落のこと。山間地や離島を中心に、過疎化・高齢化の進行で急速に増えてきており、このような状態となった集落では、生活道路の管理、冠婚葬祭など、共同体としての機能が急速に衰えてしまい、やがて消滅に向かうとされており、共同体として生きていくのが「限界」という言葉の意味。保護なしでは後は絶滅を待つだけの”絶滅危惧種”みたいなもん。
そんな限界集落の伊豆某市の旅館に住みついた妙な男が、ほぼ同時期にこの旅館に流れ着いた自殺願望のある女性とともに、お世話になった旅館の再建に立ち上がる・・・。と書くと、ヒューマンな物語に聞こえますが、そこは鈴木みそ、なかなかのおたくぶり。妙な男は、ゲーム会社のプロデューサー崩れ、女性は、売れない(一部には大人気の)ネットアイドル。おたくの生態に詳しい鈴木さん、「おたくの利用価値はこんなところにあったか〜」と膝を打つこと数十回。
ただね、ムラや町がそこまで変容しても残る意味はあるのか、そういう根本的な事には殆ど触れていません。再生をテーマにしているけど、実際そこで暮らしている人の意見はあんまし出てこない。得体のしれない者たちに乗っ取られるようにして再生しても意味はあるのかなぁ。なくなるよりはいいのか・・・。ここら辺はやっぱりデリケートな問題ですね。いや、勿論その土地の良いところは充分に生かしながらの再生ではあるんですけどね。老人ばかりの死に体の村よりも、どんな人種であれ、若い人がいる社会というのは、少なくとも死を待つ村よりもよいのかも。
で、今巻では、ついに行政をも動かす為に、市長選というとんでもない展開に。最後まで息をつかせぬ展開。結構おもしろかったし、本を閉じるとこれまで考えたこともなかった「限界集落」問題について、やっぱ色々と考えさせられました。
4巻完結と短いのでお勧めです。
- 作者: 鈴木みそ
- 出版社/メーカー: エンターブレイン
- 発売日: 2012/03/24
- メディア: コミック
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