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「その男、凶暴につき」 を観る。

 1989年 北野武監督
 これも何度も観てるんですけど、何となく「なんか観るものないかな」とあさってたら目について、スタートさせたら最後までノンストップで観てしまいました。
 「THE MANZAI」とか「俺たちひょうきん族」の、あの、ビートたけしが映画監督をするという事で当時話題になりました。あの頃は、サザンの桑田さんが「稲村ジェーン」を撮ったり(1990)、オフコースの小田さんが「いつか どこかで」を撮ったり(1992)、映画監督が本職でない人が映画監督をする事が流行っていました。いまでも年に何作かタレントが監督をやる事がありますが、一瞬話題になる程度で、作品の出来もお粗末、興行成績にさえなかなか結びつかない事が多いです。
 当然、この作品もそんな一時の話題になる程度の作品かと思いきや、その才能は単なるタレント監督とは一線を画したものでした。封切りでは観ていませんが、数ヵ月後レンタルビデオで観た時、そのすごさに圧倒されたものです。
 そして、8年後「HANA−BI」は、ヴェネツィア国際映画祭で日本作品として40年ぶりとなる金獅子賞を受賞。世界中に映画監督北野武が認められることに。

 元々この映画は、深作欣二監督で映画化される予定が、プロデューサーとの意見の対立で降板、プロデューサーは、主演予定のたけしに監督を依頼、多忙のたけしは、脚本に手を入れることを条件に引き受けたという。脚本は、野沢尚(故人)。キムタクとミポリンの「眠れる森」の脚本家さんですね。
 
 私、実はバイオレンスものってあんまし好きじゃないんですよね。でも北野映画だけは、結構観ています。北野映画の初期の暴力描写には、"もの哀しさ"が漂う。頭が良ければ言葉でやりとりをするところ、暴力でしか会話ができないような、そんな不器用さが表現されているように思うのです。単に人を傷つけるのではなくて、感情のやり取りを濃厚に伴うから、見た目普通の暴力描写でもすごく痛みを感じる。
 警察官の我妻諒介(たけし)が、警官とは思えぬ暴力捜査をし、挙句の果てに署内で容疑者を暴行。署長(佐野史郎)に「辞表を書け」と言われた後から最後まで、たけしは一切セリフがありません。全て暴力で彼の感情は表現されます。密売人から拳銃を仕入れ、最後の戦いに赴くたけし。最後には、最愛の妹にも銃弾を。同じ銃弾でもそれぞれ意味が込められていることが、素人の私が観ていても判ります。
 
 たまにとんでもない作品を創りますが、それは恐らく観ている自分が理解できないだけ。北野武という人の底は測りしれない。第1回監督作品には、その後の全てが詰まっているといいますが、この作品と次の「3-4x10月」(3対4エックス10月)これを観るとそんな言葉もホントのように思えてきます。ちなみに初めて脚本を手掛けた「3-4x10月」も結構好きです。

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