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「仁義なき日本沈没」 を読む。

春日太一 著・新潮新書

 副題は「東宝vs東映の戦後サバイバル」。1973年は、1月に『仁義なき戦い』、12月に『日本沈没』が公開された年。戦中戦後と映画制作から劇場経営まで一貫して行ってきた東映東宝。戦前からの映画制作システムが戦後崩壊していく。それと前後して映画の公開方式も2作3作のプログラムピクチャーから、1本立て興行に移っていく。その分岐点となったのが1973年。東映は『仁義なき戦い』が、東宝は『日本沈没』が各社にとって戦後最大と言っていいほどの大ヒットをしましたが、まさにこの2作が、現在の日本映画の状況を物語っています。
 1960年代に入り、娯楽の中心から凋落、斜陽化した映画界。邦画好きの私としましては、60年代迷走する各社の名作駄作入り乱れての作品群は決して嫌いじゃないです。時間があれば、2時間3時間の作品を観ても良いのですが、忙しくてゆっくり映画を観てる時間がない時、この頃の90分前後の映画はちょうどいい。特に、クレージー映画とか森重久弥の社長シリーズとかの喜劇映画は、疲れた頭をリセットするのに最高です。

 昔は、映画って一部の作品を除いて"入替"なんてしなかった。途中から入って、次の上映の途中に出るなんてのもあり。作品が気にいれば、1日何回観てもOK。私位の年齢だと、そんな時代を経験しているぎりぎりの世代だと思う。確かに、途中に出入口のドアが開いて光が入ってくるのは嫌だったけど、満席ではなく、満員な状態での映画っていうのもそれはそれでわくわくしたものです。そういえば「風の谷のナウシカ」は、池袋の映画館で立ち見したっけ…。恐らくあれが最後の立ち見ありの"満員"で観た映画かも。小さい頃「東宝チャンピオン祭り」か「東映マンガまつり」かで、座席後は立錐の余地なく立ち見客、左右中央の通路には座り込んでる客、更に、左右の内窓も外してしまい窓枠に座る客と、とんでもない状態で映画を見た記憶がある。シネコンになって全席指定席になり、上映後は入れない。お上品で環境的にはいいんだけど、なんか寂しい。最近満員で映画を観た記憶がない。こないだ観た「STARWARSエピソード1 3D」なんて、いくら平日のレイトショーとはいえ、7人でしたよ。

 映画って深く知れば知るほど面白い。ただ制作も配給も興行もすべてぎりぎりでこの仕事で生きていくのはなかなか難しい。映画制作は夢工房と言います。これからも大画面で観られる映画が観られるようにTVやレンタルで観るだけじゃなくて、是非映画館で観るようにしましょう。気にいった映画があったらDVDも買いましょう。こうして観客の下支えが明日の名作を生むのです…。

 あ、本の感想からはずれましたね。日本映画好きな人にはお勧めです。新書なので薄いけど、中身は濃い!

仁義なき日本沈没―東宝VS.東映の戦後サバイバル (新潮新書)

仁義なき日本沈没―東宝VS.東映の戦後サバイバル (新潮新書)