真山仁著・講談社文庫。
下巻では、ついに一華が公開買い付けを始め、鷲津がアカマ自動車のホワイトナイトを引き受ける。しかしアカマ自動車は、カリスマ会長はレース中に事故死、一族でただ一人アメリカ法人の社長をやっている太一郎氏はボンクラな癖に創業者一族を嵩にきて現社長を追い落とそうとするなど、内憂外患の末期症状。さて鷲津にアカマを救う秘策はあるのか。
これが書かれたのが、2009年、今から3年前。バブルがはじけ低迷する日本にどんどん中国人がやってきていました。昨年の地震で一時少なくなっていましたが、また観光客が来ているのは、新宿で働いていると良くわかります。いまや、家電量販店だけでなく、中国なしでは色々とやっていけないんでしょうね。
13億の人間がいる中国が資本主義に目覚め、これまでの遅れを一気に挽回するかのようにどんどん世界を相手に稼いできている。今中国人口の1割が1000万元以上(約1億2000万円)の資産をもっていると言います。1割っていうと1億3000万人。ほぼ日本の人口全てが"億万長者"というのだからすごい。
なのにいまだに発展途上国のフリをして、先進国、特に日本にたかってるのはとても見苦しい。しかも国際社会の一員だという自覚もない傍若無人ぶり。子供に金持たせると碌な事にならない。
自分さえよければ市場原理すら無視するような今のやり方を予見するような本作は、今後更に台頭してくるであろう中国を知る上でも興味深い作品でした。
映画「ハゲタカ」の原作では有りますが、前作同様全く異なる内容です。TVドラマ版、映画版を気にいった方も未見の方もお勧め。上下巻でちょっとハードル高いと思うかもしれませんが、面白いのであっという間に読めます。

- 作者: 真山仁
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2011/06/15
- メディア: 文庫
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