愛は平和ではない
愛は戦いである
武器のかわりが誠実(まこと)であるだけで
それは地上における
もっともはげしい きびしい
みずからをすてて
かからねばならない
戦いである―
わが子よ
この事ことを
覚えておきなさい
(ネール元インド首相の娘への手紙)
愛と誠の冒頭で流れる象徴的な文章ですね。
1976年三協映画(配給松竹)・南部英夫監督
「愛と誠」3部作の完結篇。これが手軽にレンタルで観られる時代になったのは感慨深い。この調子で「急げ!若者」もDVD化してくれないかな。会社違うから無理か。。
さて、第3部は砂土谷が緋桜団を引きいて"悪の"花園実業高校にやってくるところから始まる。当然、誠はそれを迎え撃つわけですが、原作通りに登場した蔵王与平の態度が妙に優しい。それもそのはず、原作とは異なり、砂土谷は与平が女中に産ませた子どもでした。その後の国有地払い下げをめぐる汚職疑惑で与平と早乙女家が追いつめられていくあたりは原作同様。砂土谷の死闘を経て、単身早乙女家を救おうと孤軍奮闘する誠、そして、波打ち際でのラストシーン。原作通りきれいに完結しました。
この3部作、当時はどう受け止められたんでしょうね。漫画の映画化なんて所詮この程度的な舐めた感じが、映画好きなものとしてどうもしっくりきません。特に早乙女愛がどうしても「愛」に見えない。妙に肉感的で清純さのかけらもない。原作で誠の想い人と間違われてリンチされてしまうアリスよりも巨乳なのはいかがなものか。愛にはそういう世俗的な性の香りは似合わないのに。TV版の池上季実子の方がよっぽど「早乙女愛」らしかった。あくまでも当時ね。
砂土谷の柴俊夫、蔵王与平の大滝秀治、決して悪い俳優じゃないけどやっぱミスキャスト。そして、加納竜の誠。しゃべらなければなかなかかっこいいけど、あの舌足らずな台詞回しではどうも迫力に欠ける。誠もやはりTV版の夏夕介がべストですね。
原作連載から30年、今も再刊され、映画化されているというのはすごい。でも、やはり原作を越える事の難しさを改めて考えさせられる映画でもありました。さて三池版はどんな出来なんだろう?大コケしたらしいという話ですが、そろそろDVD化されるはず。レンタル開始したら観てみよーっと。
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