(どうしても一部ネタバレ要素を含みます)
95分の本編に、今夏東京都現代美術館「特撮博物館」で公開された「巨神兵東京に現わる」が冒頭に同時上映されました。
音響のしっかりした映画館での「巨神兵―」は良かったです。あえて特撮色を残している部分もあるので、初見の人にとっては「ださっ!」と思われるかもしれませんが、「特撮博物館」でメイキングを観てどのような過程で制作されたかを観ると、よりこの作品の良さが伝わります。ソフト化の際はぜひメイキングも合わせて欲しいです。
さて本編。「破」までは、まだ旧作要素を含んでいましたが、「Q」のストーリーはほぼ新しい展開になっています。
そんな展開ですから、最初から最後まで???の連続。14年後だと判るのは、物語が結構進んでから。NERVと敵対する組織に旧NERVメンバーがおり、シンジくんには最初から最後まで殆ど詳しい説明をされません。シンジ君のみならず、観客もおいてけぼり。
これでは、前作前々作を観ない人は何が何だか分かりません。観ていても良くわからない。正直こういう映画は映画としていかがなものかと思う。
最近の映画は、前後篇や3部作とかいって、すべて見ないと全容が判らない映画が多い。それでも、普通の場合、途中の作品単体を観てもそれなりに楽しめる作品だってある。しかし、この「Q」は、正直、過去の作品を観ている人すら置き去りにする。これは、映画としては評価に値する作品じゃない。
それに、旧作で少ししか出てこなかった渚カオル君がたくさん出てきますが、どうも腐女子に迎合したようなホモッぽい描写が多く、正直気持ちが悪かったわ。
人物描写も浅く、みんな何を考えて闘っているのかよくわからない。唯一トウジの妹だけが、生身の心の叫びを語っていたような。言葉遊びや映像による遊びであって、それ以上でもそれ以下でもない。この作品にテーマ性を求める事が間違いなんだと改めて思いました。
3年待たせた挙句2時間に満たないこの程度の作品になるとは…。
正直、お勧めする映画ではありません。アニメ好きで、ヱヴァの映像に価値を見出す人の為だけの映画。
私は、ここまで付き合ったから、次回作「シン・エヴァンゲリオン:||」まで付き合いますけど。。