2007年刊なので、内容的には少し古い。しかし、ここで著者が書いている状況は拍車がかかっていますね。この年、邦画の興行収入が洋画を越えています。確かに今邦画は元気が良い。でも、映画館でかかる映画は、TVシリーズの映画版が以前にもまして多くなってきています。更に製作委員会方式でしか金を集められず、権利関係が複雑になっています。
日本映画の特徴として、製作と配給と興行が大手映画会社に握られているという状況があります。配給元が売りたい映画がありそれを興行主が判断して自分の小屋にかける。しかし最近は特に独立した映画館は殆どなく、配給元系列のシネコンばかり。今や興行主の意志で映画を上映しているところは殆どありません。もっとも、それは今に始まった事ではなく、日本の映画は昔から興行が系列化していて、映画制作会社が興行まで行っていたのですが、それでも個性的な映画をかける館主のいる映画館が確かにありました。しかし最近はデジタル上映が当たり前になり、資力のない古い映画館はデジタル映写機に入れ替える設備投資が出来ず、次々と閉館しています。残ったのは、無個性のシネコンばかり。
黄金期から凋落の一途をたどっていた映画の観客は確実に増えています。しかし、上映される映画は、後世に残るとは思えないような作品ばかりです。今の作品と比べれば、60年代、70年代のプログラムピクチャの方が、制作側の熱い気持を感じる作品があります。
何故こんな時代になってしまったんでしょうか。
(この話を書くには時間がない為、あとで改めて追記します)