日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「プラチナタウン」を読む。


 楡周平 著・祥伝者文庫

 総合商社で辣腕をふるっていた主人公が、つまらない事をきっかけに上司に睨まれ出向を示唆される。会社に残って飼い殺しになるか、出向するか悩んでいた時、地元の同級生から連絡があり、町長になって欲しいといわれる。その町は、膨大な借金を抱えて破綻寸前。誰もなり手のない町長職。外堀を埋められ、結局町長をひきうけることに。
 分不相応な箱モノを作りすぎた結果、町の財政は最悪。そんな町に起死回生の策として、リタイアした老人向けの終身型施設を企画する…といった話。


 ストーリー展開は、これまで読んだ楡周平の企業小説(「再生巨流」「ラストワンマイル」「異端の大義」とか)と基本構造は一緒。唯一目新しいのは、バリバリのエリート商社マンが、私企業から役人になるという点。突飛なアイデアを肉付けしていって最後は成功するのが判っているので、安心して読める。唯一難点があるとすれば、もう少し障害があっても良かったかも。ここで取り扱った問題は、まさに今日本が直面している問題。だからこそもう少し掘り下げて欲しかったなというのが正直なところ。まぁエンターティメントだから仕方ないか。


 それにしても、介護や増え続ける高齢者の問題はどう解決していけばいいんだろう。うちも結局田舎で母親が一人暮らしになってしまった。完全に"家"や"家族"という考え方が、変わってしまっている事を肌で感じます。
 昔、といっても戦前くらいまでは、家族は結婚をしても本家のせいぜい5km以内に居を構え、様々な行事や仕事なんかも一緒にやってきた。それが、自分たちの親の世代くらいになると仕事は自分で探し出してきて、家業にまったく関係ない職種に着くようになった。高度経済成長の時代には、"金の卵"とかいって東北の田舎から東京に就職をしに来た。その"金の卵"達は、伴侶を見つけると東京とその周辺の県に公団がたくさん団地を作り、そこに住みはじめる。盆と正月に田舎に帰る。それでも長男は地元に残っていたりしたけど、少子化が進み、地元で職がないとなると、その長男も田舎を出て働くようになる。後に残るのは親世代のみ。
 大家族から核家族に完全に移行された現代で一番の問題は、年老いた親たち世代をどう看取っていくかに尽きる。親の世代は長年住み慣れた田舎を離れることなんてできない。かといって自分も田舎で親との同居するには様々な問題がある。

 
 「時代が違う」と一言で片付けるには、捨てないといけない事(考え)が余りにも多過ぎ、大きすぎる。でもこういう時代を作ったのも親の世代、親の親の世代。間違ったと思ってももう遅いです。これから大きな意味での「家族」はどうなっていくんでしょう。。
 っていうことを考えずにはいられませんでした。

 
 あ、読みものとして勿論面白いです。お勧め。

プラチナタウン (祥伝社文庫)

プラチナタウン (祥伝社文庫)