この作品は、今は亡き朝日ソノラマの「月刊マンガ少年」からデビューした木村直巳さんの(おそらく)初めての短編集。
昔からマンガ雑誌ってそれほど買っていなかったのですが、「マンガ少年」は月刊誌という事もあって、中学高校くらいの時しばらく買ってました。お目当ては「サイボーグ009=海底ピラミッド編」とか「地球(テラ)へ…」「ミライザーバン」、単発で載っていた「ヨウスケの奇妙な世界」やあすなひろしの短編とかも好きでした。
表題作の「さよならインプ」は1979年11月号に掲載された短編。
中学3年生の山内勇君の元に小さな妖精の"インプ"が、梅雨の夜、雨宿りと称してやってくる。受験や恋愛なんかの気持ちを抱えてもやもやしている勇君は、驚きもせずインプを招き入れる。学校で気になる女の子を見つけ何度もラブレターを出そうとするけど、どうしても出せない勇君。そして夏休み彼女との距離が少し近づいて、ついに彼女へのラブレターを投函する…。返事は…、そしてインプは…。
当時14歳で多感な時期で、やっぱご多分にもれず片思いとかしていて、主人公の山内勇君にかなり感情移入して読みました。コミックスが出た時勿論買って一時は大切に読んでいましたが、一人暮らしをする時に実家においてきてそれ以来30年近く読んでませんでした。
そう、その時が私にとってのインプとの別れだったのかもしれません。
その作品が、無料で絶版漫画が読めるサイト「Jコミ」で読めることを知り、速攻タブレットにダウンロード。読み進めているうちにと知らず知らずのうちに涙が…(T_T)。
お勧めしていいものかどうか悩みます。思春期の一時期を切り取った作品だから、そんな時代をとうに過ぎて今を生きている人にとっては、何の感慨もないかもしれませんし、恐らく今の若い人にとっては、ラブレターなんて死語でしょう。
でも今回再読して、自分には確かにそういう時があったことを思い出させてくれました。
うん、やっぱり名作です。
無料ですから、試しに読んでみて下さい。
PCのブラウザなら→ https://www.j-comi.jp/book/comic/46781
因みに「Jコミ」は、無料のビュワーアプリ(http://www.j-comi.jp/guide/apps)をダウンロードすればスマホ、タブレットでも読めます。
「ちなみにハイスクール奇面組」も全部無料!陸奥A子の初期短編集(「おしゃべりな瞳」「たそがれ時にみつけたの」とか)も!
(2015.0929追記)
法人化に伴いかどうかは知りませんが、無料ダウンロードはなくなりました。
奇面組はありますが、陸奥A子はなくなりました。残念!