「闇狩り師」シリーズの新装版。1988年に「 龍の紋章篇」「龍の咆哮篇 」の2冊で刊行されていたものを合冊。新書2段組495ページと分厚い。この後10年ほど沈黙し2009年に「黄石公の犬」が出てます。
長野県の旧家久我沼家の依頼により、信州を訪れる乱蔵。今回のお仕事は犬神憑き落とし。しかし呪詛されるにはそれだけの理由があった。
「崑崙の王」は、「闇狩り師」シリーズと同じ世界観を持つ「キマイラ」シリーズがクロスオーバーした作品で、キマイラシリーズに出て強烈な印象を残した龍王院弘が登場する。
キマイラを読んでいた読者にとっては、圧倒的な強さを持った龍王院弘が、乱蔵の弟九十九三蔵、外国人のフリードリッ・ボックに相次いで敗れ、キマイラ化した大鳳の姿をみて挫折、遁走した龍王院弘のその後が読めるワクワクした作品でした。
キマイラシリーズの読者を前提としているのは諸刃の剣で、熱心な夢枕ファンならともかくキマイラを読まず闇狩り師から入った読者にとっては、少し置いてけぼり感があるのは否めない。かといってそれが違和感のある合成をしているということは決してなく、このお話から龍王院弘を追いかけるのも面白い。
流れ的に言うと
キマイラ別巻「キマイラ青龍変」
のあと、キマイラシリーズ朧変・餓狼変・魔王変(新書合冊版で1.2巻)
ときて、「闇狩り師 崑崙の王《新装版》」になります。
その後、現在ニコニコで連載中の「キマイラ鬼骨変」に再登場しているらしい。
というわけで、九十九乱蔵の物語というよりも、このお話は龍王院弘の為の物語です。30年以上前に最初に触れたキマイラシリーズは、龍王院弘の物語でもあるので、無事完結させて欲しいものです。