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「赤々煉恋」

赤々煉恋 (創元推理文庫)
 朱川 湊人著・創元推理文庫

 
 初、朱川湊人(しゅかわみなと)作品。1月に小中監督から最新作の上映とトークショウにfaceでお誘いがあり、いそいそと出かけて行きました。「赤々煉恋」と題されたその作品は、この同名作品集の中の一編「アタシの、いちばん、ほしいもの」が原作。50ページしかない原作を小中ワールドに昇華させた良作でした。

 さてこの短編集。何とも不思議なお話が5編。本のタイトルになっている「赤々煉恋」という作品はありません。英語のタイトルは「BURNING LOVES」となってました。「燃えるような恋」ってこと?ちょっと違うな。「狂おしいほどの想い」と意訳した方が良いかもしれない作品群です。

 若くして死んだ妹をまるで生きているかのように写すことのできる葬儀屋さんの話「死体写真師」、東電OL殺人事件をモチーフに、渋谷円山町での男女の不倫と若い頃の恋がシンクロする「レイニー・エレーン」、ずっと街を彷徨いながら欲しいものをさがす女子高生の物語「アタシの、いちばん、ほしいもの」、不幸な人生の中で見つけた幸せは、アクロトモフィリアとの間に揺れ動く「私はフランセス」、そして最後の一編は、石の欠片に"月のレンズ"で集めた"月の水"を与えることで成長し美しい女性に育てる男と知り合う「いつか、静かの海に」

 
 どれも決して爽快な話ではないし、ハッピーエンドが描かれてるわけではないのに、妙に清々しい気分になる不思議な本でした。