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「俺はあしたのジョーになれるのか」を読む。

俺はあしたのジョーになれるのか (祥伝社文庫)
 祥伝者文庫・岡崎大五著

 岡崎大五さんという作家さん初めて知りました。単純に「あしたのジョー」好きなので、あらすじすら読まず完全にタイトル買いしました。ご本人のblogにありましたが「あしたのジョー」をタイトルに入れるにあたって、講談社ちばてつや梶原一騎高森朝雄)の奥様に許諾を頂いたそう(http://daigo-okazaki.cocolog-nifty.com/blog/2013/12/post-ea1d.html)。タイトルは作者本人ではなく編集者が決めたともありました。私みたいにタイトル買いをした人がいることを考えればまぁありなんでしょう。このタイトルが憑いてなければ99%読んでいなかったに違いありませんからw

 山谷で労務者の手配師をしている朝倉譲二。もともと大手企業にラグビー部で入社したものの不況で廃部。さらい追い打ちをかけるように公務員の父親が役所の金を横領、タイ人女性に貢ぐという事件が発覚、母親はショックで若年性の認知症に、妹は介護疲れで鬱病にと家庭が崩壊する。譲二は会社を辞め、父親が目撃された山谷で過ごし行方をくらましている父親を探しだそうとする。
 山谷という地名は今はない。台東区東浅草付近。通称ドヤ街。日雇い労働者がある丸為、木賃宿が集まる、ヤドを逆さにしてドヤというわけ。
 ここにひとりの若者が流れ着いて、バンタム級世界チャンピオンに挑戦するまでの成長を描いたのが、名作「あしたのジョー」。主人公矢吹丈になぞらえた主人公は、いつか矢吹丈のように"泪橋(今はもうない)を逆に渡る"事を夢見る。


 ハードボイルドに話は進んでいきます。しかし最後まで読むと、何故真面目な公務員だった父が横領などしたのか、その理由が明らかにされます。譲二の回りにいるドヤの人たちも色々な理由で流れ着いていますが、譲二の事務所に出入りする大学生唯はこんなことを言います。
「人の評価って、その人を知らない人や、法律、あるいは世間の常識みたいなものだけで下せるものじゃなでいでしょ?私、日雇いで頑張って働いているおじさんたち好きよ。そりゃ、いろいろあるかもしれないけれど、みんなやさしいし、一生懸命働いているじゃない。ホームレスの人だって悪くないもん。中にはどうしようもない怠け者の人もいるけどさ、そんな人はそんな人で、憎めないでしょ。」


 働く事ってやっぱ大切だと思う。汗を流して働く事はやっぱり美しい。本当に汗まみれにならなくても、脳みそに汗かくのだって立派な仕事。仕事って、自分の為じゃない。自分が働くことで周りの人の役に立つ。それが労働の真価。


 東日本大震災後に書かれたこの物語は、日雇労働者が福島に出稼ぎする姿をも描く。もともと高度経済成長、オリンピック景気を当て込んだ労働者が集まった山谷の現状をフィクションを通して知ることができる。

 
 タイトルだけに興味を持って読んでましたけど、なかなか興味深い物語でした。

 
 

俺はあしたのジョーになれるのか (祥伝社文庫)

俺はあしたのジョーになれるのか (祥伝社文庫)