日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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「HANA−BI」

HANA-BI [DVD]
1998年・北野武監督。
ずいぶん久しぶりに再見。wikiによると受賞歴は以下の通り。
<国外>
ヴェネツィア国際映画祭・グランプリ(金獅子賞)
ヨーロッパ映画賞 インターナショナル映画賞
・ニューヨーク映画祭・ヨーロピアン・アカデミー賞「スクリーン・インターナショナル賞」
サンパウロ国際映画祭・批評家賞
オーストラリア映画批評家協会賞・外国作品賞
<国内>
・第53回毎日映画コンクール・日本映画優秀賞
報知映画賞 邦画部門・最優秀作品賞、最優秀監督賞
・第41回ブルーリボン賞・作品賞、監督賞
・第49回芸術選奨・文部大臣賞映画部門
・第22回日本アカデミー賞
 最優秀賞 - 音楽賞
 優秀賞 - 作品賞/監督賞/脚本賞/主演男優賞/主演女優賞/助演男優賞/撮影賞/編集賞/照明賞/音響賞
・第8回東京スポーツ映画大賞・作品賞・監督賞・主演男優賞・助演男優賞助演女優賞
 (第72回キネマ旬報ベスト・テン日本映画第1位、第20回ヨコハマ映画祭日本映画ベストテン第3位)


 警視庁の刑事、西(たけし)の奥さん(岸本加世子)は不治の病を患っていて、余命いくばくもなく、医者からも見捨てられている。同僚の堀部(大杉漣)は、そんな西を心配して、通常2人組で行う張り込みを一人で引き受け、西に奥さんの見舞いに行くように勧める。ところがその時、堀部は犯人に撃たれ半身不随、車いす生活になる。しかも、刑事を辞め家に帰ると子供を連れて奥さんは出て行ってしまう。
 その後西は部下(芦川誠寺島進)とともに犯人を追い詰めるが、その際に芦川誠は犯人に撃たれ即死、寺島進も大けがをする。西は、持っていた拳銃で犯人を一撃で射殺、その後犯人の死体に全弾打ち込む。
 西は、警察を辞め、奥さんを退院させて一緒に生活をするようになる。生活費は底をつき、やくざ者から金を借りるが当然返せない。やくざに追われる西は、銀行強盗をして金を作り、妻と逃避行をする。


 あれ?あらすじを書いてみるとたいした話じゃないなぁ。
 基本バイオレンスものってあんまし好きじゃないんですが、初期の北野作品はけっこう好きです。殴ったり拳銃で撃ち殺したりするシーンは、やっぱり駄目なんですが、主人公の哀しさが全編に漂っていて、それがなんとも切ない。
 「HANA−BI」の西も、お話しの中の不幸を一身に背負っていて、勿論それが反社会的行動の原因として許されるものではないのだけど、人間生きていれば、多かれ少なかれ反社会的な行動を知らず知らずのうちにしているもので、それを強調しているって思えばある程度合点はいきます。肯定はできませんが。


 キタノブルーと言われる青みがかった画面、極力台詞を廃したストーリー展開。台詞で説明するのではなく、画面ですべてを表現するというのは、映画としてあり。でもこういう冒険はなかなかできず、どうしても凡庸な作品が多くなる。そういう意味では、北野武は、映画監督以外の世界でも、十分評価されているという安心感、「別に映画が駄目でもお笑いあるし」という二足の草鞋がよく作用しているんじゃないかと思うのです。

 ハリウッド映画の、説明の多いわかりやすいストーリーに慣れている観客にとっては、意味不明な暗い映画ととらえられがちですが、一度キタノ映画の文法を理解した上で観てみると、やっぱり金獅子賞に相応しい稀有な映画だということが分かります。

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