富野由悠季著・BOOKWALKER(角川書店が運営する電子書籍)
角川スニーカー文庫の電子書籍版での再読も最終巻まで来ました。
1巻では違和感のあったオリジナルストーリーも、2巻3巻はほぼ独自の展開で小説として楽しめます。
物語はついに連邦軍のドズル中将の拠点のソロモン攻略、ア・バオア・クー攻略の為の"星一号作戦"を実行していきます。
2巻の最後で新しいジオンのニュータイプで、エルメス2号機を駆るクスコ・アルをララァ同様殺してしまったアムロは、連邦のニュータイプのエースとしてその存在感がいや増している。同様にペガサスJクルーもニュータイプ認定されて、星一合作戦の切り込み隊長として戦線を突き進んでいく。
一方のシャアは、シャリア・ブルとルロイ・ギリアム(TVでは出てこない)というニュータイプと組んで、更にガンダム=アムロを追い詰めていく一方で、本来の敵は連邦ではなく、人を人とも思わない我欲に満ちたザビ家、特にギレン・ザビであるとして、ギレンを討つことに。同じニュータイプとして人の革新を阻むギレンを討つという行為にアムロやペガサスクルーと同盟しようとするシャアたち。そこで尖兵となったのは新しいモビルアーマー、ブラウ・ブロに乗るシャリア・ブルで、アムロに対しニュータイプの能力を使い同盟を呼びかける。
しかしシャリア・ブルの呼びかけの中発射されたジオンのソーラ・レイ・システムで灼かれた沢山の魂の叫びを聞いたアムロは逆上、ブラウ・ブロを破壊、と同時に拡散されたシャリア・ブルの叫びを聞くに及び、シャアとの同盟を決意する。
ペガサスクルーにシャアの真意を伝えようとペガサスに向かっていた時に、新兵ルロイのリック・ドムによってガンダムは撃たれ爆発。アムロは死亡する!その前のシャリアとの戦いではハヤトも戦死しています。
シャアの先導でギレンのいるズムシティに向かうペガサス。シャアは赤いリック・ドムにキシリアを同乗させて、手のひらからギレンを撃たせる。ギレンが死んだと同時に、(まさに)手のひらをクルリと返しキシリア転落死。ザビ家の指導者はここにすべて死亡、先のギレンのソーラレイで連邦宇宙軍は壊滅、これにて1年戦争は終結となる。。
TV版と大きくストーリーが異なります。何しろハヤト、アムロが死んじゃうんですから。
この頃の富野さん、一人歩きしたガンダムが嫌いだったんでしょうねぇ。続編作らないつもりだったのかもしれませんが、その後の流れはそれを許しませんでした。というわけで、この小説版はパラレルワールドの"もう一つのガンダム"扱い。
そもそもニュータイプって考え方がTV版の途中から徐々に出てきた概念。だからどうもエスパーとの明確な差異が分かりにくい。要はエスパーほどの異能ではなく、洞察力や共感能力がより高まった状態というところなんでしょうが、ガンダムの物語の中では、小説にしてもTVにしても戦争の中ではやっぱりエスパー的な描かれ方しかされない、というかできないんでしょう。
テレパシーとか読心みたいな超能力ではなく、純粋に他と分かりあえる能力、欲しいですねぇ。こういう能力があれば、知らず知らずのうちに他人に傷つけられたり、傷つけたりすることはなくなる。それに相手が望むことをピンポイントでやってあげたりできる。
でもTVから30年以上経っているのに、ニュータイプの萌芽すらなく、いまだに戦争やテロや殺人が横行している。
ニュータイプになれる日は来るんだろうか。。
- 作者: 富野由悠季,美樹本晴彦
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
- 発売日: 1987/10/25
- メディア: 文庫
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