日々雑感っ(気概だけ…)on Hatena Blog

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花びらの落ちるスピード

 映画「秒速5センチメートル」で、小学生の明里ちゃんが貴樹くんに花びらの落ちるスピードは秒速5センチメートルと言います。いやいや、もっと速いよなぁと思ってたら、同じことを考える人はいるようで、詳細に計算をしている人がいました。→http://monoist.atmarkit.co.jp/mn/articles/1504/01/news031.html流体力学で検証:桜の花の落ちるスピード「秒速5センチメートル」は正しいのか?)


 結論としては、「桜の花びらが落ちる速度が秒速5センチメートルになることはないだろう。ただし秒速1.75メートルの上昇気流が起これば、秒速5センチメートルになるかも」ということ。。まぁそんなところでしょう(^_^;)。


新海監督は、「星を追う子ども」公開記念 『秒速5センチメートル』上映&ティーチイン@キネカ大森(5月12日)で、以下のように質問に答えてました。


 質問D:秒速5センチメートル』をはじめて観た時にすごいインパクトがありました。スピードの単位が秒速でセンチメートルって聞いたことがなくて、タイトルを見て「何だろうこれ」と思って観てみたら、桜の花びらが落ちる速度のことで。それを見てすごいなと思ったんですが、どうしたら桜の落ちるスピードをモチーフにできたのか、何がキッカケなのかなと。


新海:キッカケはお客様からいただいたメールだったんですね。10年前にこういう仕事を始めてからメールアドレスをずっとオープンにしていて、時々お客さんが観た感想を送って下さるんです。その中で、ある女性の方が「新海さん知っていますか、桜の花びらの落ちるスピードは秒速5センチメートルなんですよ」と言ってくださったのが、この作品の表題作のキッカケでした。何か格好いいですよね、光のスピードとかって秒速使ったりするじゃないですか。めったに使わない単位ではあるんですけど、なるほど世の中にはそういう単位があるんだなということを改めて思って、その方にメールで「次の作品のタイトルで使わせていただいていいですか」とお断りをして使わせていただきました。
ただ、実際の桜の花の落ちるスピードはもう少し速いと思うんですよ。もしかしたら10センチ、50センチあるのかも知れません、それを承知の上で作ったんですけど。でもタカキにとってアカリの言ったことが本当なのか嘘なのかは全く関係なくて、彼女が語った言葉だったということがたぶん全てなんですよね。なので、そういうニュアンスを込めることも含めて、正しいのか正しくないのか分からない『秒速5センチメートル』という不思議なタイトルにしました。


秒速5センチメートルDVD特典映像インタビューでは、
インタビューの中で新海さんは最初のあたりで『単純に桜の花が落ちるスピードだけでなく他のいろんな速度をテーマにした作品』と語ってます。


『第一話で言えば貴樹が明里に会いにいく電車のスピードだったり、手紙が届くスピードであったり、メールが届くスピード、または貴樹の気持ちもしくは明里の気持ちがそれぞれに届くスピード、あるいは離れていくスピードなどスピード全体を物語のテーマにしています。ですので端的にスピードだけを表すタイトルにしました。他にももう少し気持ちを込めていて、逆に言うとこの作品が本当に速度だけに絞って書いてるからなんです。ぼくの前作である『雲の向こう、約束の場所』や『ほしのこえ』という作品でもテーマは二人の心の距離だったり、スピードであったりしたのでずっと同じテーマを通底して描いているのですがただ今回の作品に関して言えば逆にそれしか描いていない、二人を隔てる物は何もない訳で、でもどうして関係は変化していってしまうのかを描きたかったんです。第1話で描いてるのは貴樹が電車を乗り継いで明里に会いにいくその電車のスピード、貴樹が明里に近づいていく物理的、心理的スピードを描いていて、第2話では花苗が貴樹との心の距離を自覚してしまうだけの話だし、第3話は逆に貴樹が明里との心の距離を自覚する、それだけの話と言ってしまえると思うんです。アニメーションなんだけれど他に何の要素も入れず、シンプルなんだけど逆に力強い作品にしたいという気持ちを込めて速度だけを表す『秒速5センチメートル』というタイトルをつけました。』

 確かにいろいろなもののスピードと言われて、はたと気が付いたのは、2話は特にスピードを意識しているなと。ロケットの飛ぶ速さの一方で、ゆっくりと運ぶさま。貴樹君の弓道、花苗のサーフィン、2人の登下校風景、カブを押しながらの下校。一向に縮まらない花苗と貴樹くん。そしてどんどんと離れていく、明里と貴樹くんの心理的距離。


 距離と時間は心理的なもの。携帯電話でずっとつなっていると感じれば、距離は近い。近くにいても気持ちがすれ違っていれば距離は遠い。


 桜満開の今の時期、見直してみるのに良い作品です。

 

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