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「深淵のガランス」

深淵のガランス (文春文庫)
 北森鴻著・文春文庫
 銀座の裏通りで飲食店に花を生ける"花師"と"絵画修復師"という2つの仕事をする佐月恭壱と、前畑善次朗(善ジイ)のコンビの第1作目。
 2作目の「虚栄の肖像」を先に読んでしまったのですが、北森作品のシリーズものは、連作短編なので気にするほどではないにせよ、やはり順番通り読んだ方がよかったと少し後悔。


 ガランスとは、朱色の事。(こんな色→ http://www.color-sample.com/colors/2967/
 幻の作品は絵画の上に重ね描きされていて、なぜこの絵が隠されたのか。そしてこの絵を隠した理由は…。絵画修復の過程で真実が浮かび上がってくる。
 2作目の「血色夢」は偶然発見されたへきがの修復を依頼される恭壱。その絵のすばらしさに魅了されて修復を受けるが、一方で別の絵画修復、これが1枚の絵を4分割され絵を足されて、それぞれが真作とされる4枚の作品になっているという。その4枚を見つけ出し本当の絵に修復するという話が並行して描かれる。別作品(旗師冬狐堂)の主人公、宇佐美陶子も絡み、話は面白いように収斂されていきます。
 最後の「凍月」は、駆け出しの頃の恭壱が、父親の足跡を追い、修復を手掛ける話。


 どれも絵画、修復に関する造詣が深くしかししろうとでもわかりやすく描写されていて、読んでいてどんどん引き込まれます。
 惜しむらくは、作者が2010年に早逝してしまっていること。もう続きは読めないんですよね。

 
 どの作品を読んでも面白い北森鴻。お勧めです。

 

深淵のガランス (文春文庫)

深淵のガランス (文春文庫)