ジェローム・シュシャン著
著者のジェロームさんは、ゴディバ・ジャパンの社長にして2013年に弓道錬士五段を認許されています。外資ってすごく忙しいと思うんだけど、ちゃんと弓道続けておられるのはすごい事。日本人って「ワーク・ライフ・バランス」をとるの下手だから、現役世代はなかなか趣味に没頭できなかったりします。
この本は要はビジネス書で、弓道の教えが如何に成功するビジネスに置き換えることができるかという内容。この”置き換え”というところがミソで、余に氾濫するビジネス書の類は常にこの置き換えが巧みか否かによってヒットするかどうかが決まる。また、フランス人が弓道を通してビジネスを語るというのも内容以前に面白いです。
私も弓道を再開して4年が過ぎ、改めて会社での生活との心理的シンクロについては同様に考えていました。営業成績がそこそこ悪くないのも弓道のおかげ、といっては言い過ぎかもしれないけど、その側面はおそらくあると実感しています。
本文にあります「売上は達成すべき脅迫的な目的ではなく、正しいマネジメントによって自然にもたらされる結果でなくてはならない」は、弓道でいうところの「正射必中」(正し行射すれば必ず中る)とまさに同義。目標にばかり目を向けていると、確かに目標達成はあるかもしれないけど、恒常的な達成にはつながらない。あくまでも正しい行為のもとに達せられる結果こそが真の意味での目標達成になるわけ。他の武道は知りませんが、いずれにしても勝ちにばかり拘る武道ってそんなにないかもしれません。その中でも弓道は内省の強い武道じゃないかと思います。なんつっても敵は人ではなく動かない的。中るも中らないもすべて自分の行ないに帰結し仮に失敗しても誰のせいにもできません…。
弓道をやってるから理解しやすいという側面も否定はしません。でも逆にこの本を読んで弓道に興味を持たれるビジネスマンが出てくる可能性もあるんじゃないかなぁとも思います。
弓道の昇段審査では、実生活とのかかわりについて問われる筆記問題もあります。いやらしいけど、筆記対策としても有効かとw
- 作者: ジェローム・シュシャン
- 出版社/メーカー: 高橋書店
- 発売日: 2016/02/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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